国内不動産相場の動向を示すモノサシの一つに東証リート指数という指標があることは、過去に本欄でも幾度か触れている。これは東京証券取引所に上場している不動産投信(J-REIT)全銘柄を対象 とした「時価総額加重型」の指数で、特にアベノミクスがスタートしてからの数値は目立って上昇している。
とはいえ、各J-REIT が手掛けるのは大都市部に立地する国内でもひとつまみの超優良物件に限られており、全体を見渡せば、2014 年の地価調査(国土交通省)において、東京圏の住宅地の地価が6 年ぶりにようやく前年比プラスに転じたという程度の状況だ。つまり、広く大都市部の不動産価格は、まだ上昇のスタートを切ったばかりの状態であると言え、今後の上昇余地拡大が大いに期待されるところとなる。当然、シンガポールの政府や民間企業もそうした点に目をつけ、一気に積極姿勢を強めてきているものと考えられよう。
何より注目すべきは、東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィス空室率が今年8月末時点の平均で6.02%にまで低下しており、俗に「自然空室率」と呼ばれる5%台への突入も時間の問題と見られている点である。この自然空室率とは「その水準を下回ってくると賃料の上昇カーブが一気に上昇傾向を強める」とされる値のことで、実際、すでに東京5 区の平均賃料は、8 月末時点で8 カ月連続の上昇となっている。
当然、賃料の上昇は将来的な不動産価格の上昇につながるわけであり、その賃料の上昇を支えるのがアベノミクスの成果に対する期待であるということは言うまでもない。今秋の臨時国会において一段の成果が積み上げられるか、大いに注目しておきたい。
とはいえ、各J-REIT が手掛けるのは大都市部に立地する国内でもひとつまみの超優良物件に限られており、全体を見渡せば、2014 年の地価調査(国土交通省)において、東京圏の住宅地の地価が6 年ぶりにようやく前年比プラスに転じたという程度の状況だ。つまり、広く大都市部の不動産価格は、まだ上昇のスタートを切ったばかりの状態であると言え、今後の上昇余地拡大が大いに期待されるところとなる。当然、シンガポールの政府や民間企業もそうした点に目をつけ、一気に積極姿勢を強めてきているものと考えられよう。
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(左)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 www.e-minamiaoyama.com
(右)THIS MONTH RECOMMEND
日本国債破綻の“Xデー”はいつか?
書名や帯の表記はいささかセンセーショナルなものであるが、その内容は非常に真面目で論理的、建設的なものである。工学博士である著者は、ゲーム理論を駆使した戦略情報学を得意とし、ちまたにはびこる「日本国債は安全」という主張が幻想に過ぎないことを強い説得力をもって論じている。いたずらに読者の不安を駆りたてようというのではなく、むしろ国債破綻を回避するための諸方策を理系の目線で現実的に説いているところが興味深い。
『国債パニック ゲーム理論で破綻時期を警告!』逢沢 明著/かんき出版/ 1,620円
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