

食語の心 第 13 回
作家 柏井壽
地方と食。真っ先に頭に浮かぶのはB級グルメという言葉。幾度かのブームを重ねて、今ではすっかり定着した感があるB級グルメ。
日本各地でお国自慢として、古くから伝わる料理や、町興しとして新たに開発された料理が入り混じり、その人気を競い合っている。
それはいいとして、しかしB級グルメという呼び名を僕は好まない。食にA級もB級もないからであって、安くても高くても、珍しい料理でも、ありふれたものでも、その価値は決して優劣やクラスを競うものではないはずだ。
故に僕は、地方ならではの美味しい料理をローカルグルメと呼び、一冊の新書にまとめたくらいである。このローカルグルメは、旅と一体である。旅先で出会う味。あるいはそれを求めての旅。いずれにせよ、居ながらにして取り寄せるのではなく、旅先で味わってこそのローカルグルメである。
麺類、ご飯モノと、ローカルグルメのほとんどはひと皿系。一食完結主義。それ故、インパクトのある味重ねが人気を集める。これまでの旅で、僕が最も心を引かれたのはトルコライス。皿うどん、ちゃんぽんと並ぶ長崎名物である。
トルコライスというくらいだから、当然トルコに関係があるのだろう。初めてそれを食べる旅に出て、どんな料理かを想像してみた。まだ、ネットで検索することなど、思いもよらなかった頃の話。
はてトルコという国では、どんな料理が食べられているのか、と思いを巡らせど、まったく浮かんでこない。そうこうするうち、長崎に着いた。
名物ローカルグルメともなれば、それを供する店はたくさんある。その中からどの店を選ぶか。これが最も大事なことになる。
現地にたどり着いて、まずは書店を探し、ガイド本を開いて店を選ぶための参考にするのが、僕の旨い店探しの流儀。
大判のシリーズはカラー写真が出ているのでそれをつぶさに観察し、何軒かのあたりをつけて、今度は地元の新聞社や出版社から出ている店紹介本の記事を読んで、写真のイメージと重ね合わせ、最終判断を下す、という方法を取る。だがそれとてまだ決定ではない。最後は店の前に立ってみて、その佇まいを見、店の空気を読みながら、よし! となって初めて店に入る。
日本各地でお国自慢として、古くから伝わる料理や、町興しとして新たに開発された料理が入り混じり、その人気を競い合っている。
それはいいとして、しかしB級グルメという呼び名を僕は好まない。食にA級もB級もないからであって、安くても高くても、珍しい料理でも、ありふれたものでも、その価値は決して優劣やクラスを競うものではないはずだ。
故に僕は、地方ならではの美味しい料理をローカルグルメと呼び、一冊の新書にまとめたくらいである。このローカルグルメは、旅と一体である。旅先で出会う味。あるいはそれを求めての旅。いずれにせよ、居ながらにして取り寄せるのではなく、旅先で味わってこそのローカルグルメである。
麺類、ご飯モノと、ローカルグルメのほとんどはひと皿系。一食完結主義。それ故、インパクトのある味重ねが人気を集める。これまでの旅で、僕が最も心を引かれたのはトルコライス。皿うどん、ちゃんぽんと並ぶ長崎名物である。
トルコライスというくらいだから、当然トルコに関係があるのだろう。初めてそれを食べる旅に出て、どんな料理かを想像してみた。まだ、ネットで検索することなど、思いもよらなかった頃の話。
はてトルコという国では、どんな料理が食べられているのか、と思いを巡らせど、まったく浮かんでこない。そうこうするうち、長崎に着いた。
名物ローカルグルメともなれば、それを供する店はたくさんある。その中からどの店を選ぶか。これが最も大事なことになる。
現地にたどり着いて、まずは書店を探し、ガイド本を開いて店を選ぶための参考にするのが、僕の旨い店探しの流儀。
大判のシリーズはカラー写真が出ているのでそれをつぶさに観察し、何軒かのあたりをつけて、今度は地元の新聞社や出版社から出ている店紹介本の記事を読んで、写真のイメージと重ね合わせ、最終判断を下す、という方法を取る。だがそれとてまだ決定ではない。最後は店の前に立ってみて、その佇まいを見、店の空気を読みながら、よし! となって初めて店に入る。