
女性の着物専門店「和織(わおり)・和染(わせん)」。従来の呉服屋にはない、現代的でモダンな店内。銀座もとじの世界観が非常によく表現されている。
(左)泉二弘明(もとじ・こうめい)
銀座もとじ代表取締役社長。1979年銀座に店舗をオープン。専門特化した店づくりを行い、織の「和織」、染の「和染」 、男の着物専門店や大島紬専門店を出店。
(右)泉二啓太(もとじ・けいた)
泉二弘明氏の長男。洋服を学びに渡英。海外生活で自らが持つ日本人としてのアイデンティティーを再確認し、改めて着物の世界に戻り修業中。
(左)泉二弘明(もとじ・こうめい)
銀座もとじ代表取締役社長。1979年銀座に店舗をオープン。専門特化した店づくりを行い、織の「和織」、染の「和染」 、男の着物専門店や大島紬専門店を出店。
(右)泉二啓太(もとじ・けいた)
泉二弘明氏の長男。洋服を学びに渡英。海外生活で自らが持つ日本人としてのアイデンティティーを再確認し、改めて着物の世界に戻り修業中。

日本の絹プラチナボーイが紡ぐもの
銀座もとじ
銀座もとじ
Photo TONY TANIUCHI Text Ichiko Minatoya
安価な海外産に押され、斜陽の一途を辿る日本の養蚕業。「和食なら国産の素材にこだわる。着物もそうあるべきではないか」と考えた銀座もとじ店主・泉二弘明氏は、10年前国産の蚕から生まれる「プラチナボーイ」で、ものづくりを始めた。それは着物に関わる人々の思いをつなぎ、新たな時代に日本の文化をつなぐ、細いが強い糸でもある。
「着物は何からできるの?」
当時小学生だった息子・啓太氏の質問に、泉二弘明氏は愕然とした。「子供、いえ大人でも、絹が何からできるのか知らないし、考えたこともない時代になっている。これは日本の文化の危機だと思いました」
価格競争の中で、国産の絹は安価な海外産に取って代わられ、着物の刺繍や染め、縫製も海外で行う業者が増えている。だがそれで着物文化が守れるだろうか。「良い素材なくして、良い着物はできない。ずっとそのことが頭にありました。それが『プラチナボーイ』との出合いで光が見えたのです」
大日本蚕糸会・蚕業技術研究所の大沼昭夫博士を中心とする研究者たちが37年かけて作り出したのは、オスだけが孵化する蚕。卵を産まないオスは、メスよりも20%ほど多くの絹を生産するうえ、体にあるたんぱく質をすべて糸に吐き出すため、メスが作り出す糸に比べ、ツヤや丈夫さ、糸の長さ、細さも、より上質な絹糸が作れる。このオスだけの蚕はプラチナボーイと命名された。
プラチナボーイの繭は、温度や湿度などの条件が厳しく、育てるのにとても手間が掛かる。その苦労に報いるために、弘明氏は織り上げられた布に「蚕を育てた人」「糸を紡いだ人」「染めた人」「織った人」など、各工程に関わる職人の名前を証紙として明記し、出来上がった反物に付けて人目に触れるようにした。
「職人の中にはうれし涙を流した人もいました。今までみんな自分の育てた繭が、紡いだ糸が、布になったところを見たことがなかった。しかし誰だって本当は自分の仕事を見届けたい。これが励みになり、プラチナボーイに関わる人誰もが『もっと良いものを作ろう!』と、今まで以上に良い仕事をしています」
◆ナイルスナイル会員限定 銀座もとじ 無料着物入門講座
純国産の着物が少なくなっている中、糸からこだわる銀座もとじ。「プラチナボーイ」での生産者の顔の見えるものづくり、観劇や会食、パーティーなどTPOを踏まえたコーディネートの提案、男の着物専門店を構える店主ならではの「着物で男磨き」の話、着こなしのポイントなど、店主の泉二弘明氏が紹介する。初心者の方から、コーディネートでお悩みの方まで、ぜひお気軽にご参加ください。
日時:10月25日(土)10:00 ~ 11:00
場所:銀座もとじ 和織
応募方法:問い合わせの電話番号までご連絡ください。
ご予約の際は「ナイルスナイルを見た」と言ってください。
※ご参加くださった方に、銀座もとじオリジナル「銀座の柳 風呂敷」をプレゼントいたします。
●銀座もとじ 東京都中央区銀座4-8-12 TEL03-3538-7878 www.motoji.co.jp
当時小学生だった息子・啓太氏の質問に、泉二弘明氏は愕然とした。「子供、いえ大人でも、絹が何からできるのか知らないし、考えたこともない時代になっている。これは日本の文化の危機だと思いました」
価格競争の中で、国産の絹は安価な海外産に取って代わられ、着物の刺繍や染め、縫製も海外で行う業者が増えている。だがそれで着物文化が守れるだろうか。「良い素材なくして、良い着物はできない。ずっとそのことが頭にありました。それが『プラチナボーイ』との出合いで光が見えたのです」
大日本蚕糸会・蚕業技術研究所の大沼昭夫博士を中心とする研究者たちが37年かけて作り出したのは、オスだけが孵化する蚕。卵を産まないオスは、メスよりも20%ほど多くの絹を生産するうえ、体にあるたんぱく質をすべて糸に吐き出すため、メスが作り出す糸に比べ、ツヤや丈夫さ、糸の長さ、細さも、より上質な絹糸が作れる。このオスだけの蚕はプラチナボーイと命名された。
プラチナボーイの繭は、温度や湿度などの条件が厳しく、育てるのにとても手間が掛かる。その苦労に報いるために、弘明氏は織り上げられた布に「蚕を育てた人」「糸を紡いだ人」「染めた人」「織った人」など、各工程に関わる職人の名前を証紙として明記し、出来上がった反物に付けて人目に触れるようにした。
「職人の中にはうれし涙を流した人もいました。今までみんな自分の育てた繭が、紡いだ糸が、布になったところを見たことがなかった。しかし誰だって本当は自分の仕事を見届けたい。これが励みになり、プラチナボーイに関わる人誰もが『もっと良いものを作ろう!』と、今まで以上に良い仕事をしています」
◆ナイルスナイル会員限定 銀座もとじ 無料着物入門講座
純国産の着物が少なくなっている中、糸からこだわる銀座もとじ。「プラチナボーイ」での生産者の顔の見えるものづくり、観劇や会食、パーティーなどTPOを踏まえたコーディネートの提案、男の着物専門店を構える店主ならではの「着物で男磨き」の話、着こなしのポイントなど、店主の泉二弘明氏が紹介する。初心者の方から、コーディネートでお悩みの方まで、ぜひお気軽にご参加ください。
日時:10月25日(土)10:00 ~ 11:00
場所:銀座もとじ 和織
応募方法:問い合わせの電話番号までご連絡ください。
ご予約の際は「ナイルスナイルを見た」と言ってください。
※ご参加くださった方に、銀座もとじオリジナル「銀座の柳 風呂敷」をプレゼントいたします。
●銀座もとじ 東京都中央区銀座4-8-12 TEL03-3538-7878 www.motoji.co.jp