志賀直哉の見た尾道
今も多くの人をひきつけるこの街は、小津安二郎の『東京物語』を始め、数々の映画や文学作品の舞台となってきた。千光寺公園の「文学のこみち」には、尾道に関する歌や作品の碑が25も連なっている。
「のどかさや 小山つづきに塔二つ」 正岡子規
少女時代を尾道で過ごした林芙美子は、尾道ゆかりの作家を代表する存在だ。『放浪記』から以下の文章を抜粋した碑が見られる。
「海が見えた。海が見える。五年振りに見る、尾道の海はなつかしい。汽車が尾道の海へさしかかると、煤けた小さい町の屋根が提灯のやうに、拡がって来る。赤い千光寺の塔が見える、山は爽かな若葉だ。緑色の海向うにドックの赤い船が、帆柱を空に突きさしている。私は涙があふれていた。」(林芙美子『放浪記』)
「のどかさや 小山つづきに塔二つ」 正岡子規
少女時代を尾道で過ごした林芙美子は、尾道ゆかりの作家を代表する存在だ。『放浪記』から以下の文章を抜粋した碑が見られる。
「海が見えた。海が見える。五年振りに見る、尾道の海はなつかしい。汽車が尾道の海へさしかかると、煤けた小さい町の屋根が提灯のやうに、拡がって来る。赤い千光寺の塔が見える、山は爽かな若葉だ。緑色の海向うにドックの赤い船が、帆柱を空に突きさしている。私は涙があふれていた。」(林芙美子『放浪記』)


(左)築100年の古民家を改装したカフェ「チャイサロン ドラゴン」。尾道にはこのような古い建物を利用したモダンな店が多く、他県出身の若者が新たに事業を始めるケースもある。(右)宝土寺(ほうどじ)の門からアーケード街を望む。千光寺山中腹の志賀直哉旧居からも近いため、街へ出る時は直哉もこの風景を眺めたかもしれない。手前には線路が敷かれている。