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サロンの天井は、16世紀のドイツの数学・天文学者ペトルス・アピアヌスからのインスピレーションによる壮麗な天文図で飾られている。宇宙と時計という永遠のテーマに対する、ジュルヌ氏の関心の高さを示唆するものだ。
「ある財団のチャリティーパーティーで、初めて顔を合わせたんです。フランソワ︲ポールはすでに独立時計師として有名でしたし、エクスクルーシブで希少性の高いブランドであることも認識していました」
 一方、ジュルヌ氏。
「彼の名前は知っていましたよ。当時私は、彼の会社が所有するマンションを借りて、住んでいましたからね(笑)」  その後、ミューレー氏は初期モデルの「オクタ・パワーリザーブ」を皮切りに、100分の1秒計測が可能な「サンティグラフ・スヴラン」、ジェイド製ダイヤルの限定モデル、昨年発表された「クロノグラフ・モノプッシャー・ラトラパンテ」に至るまで、数々のモデルを自身のコレクションに加えながら、個人的にも親交を深め、東京、北京、台湾、サンクトぺテルブルクなどを共に旅する仲に。2014年には、二人のコラボレーションによる10本限定モデル「モザイク」を誕生させている。ミューレー氏はこう回想する。
「当初、彼は、コラボレーションは絶対にやらない、と言っていたんです。ハリー・ウィンストンとのコラボプロジェクト『オーパス・ワン』は、彼の名を世に広く知らしめることになりましたが、本人には苦い経験でもあったようです。ですが、私は時計製造に関してあるアイデアがあって、相談をしていました。彼は天才ですからね、話し合っているうちに、どんどん原案とは変わっていきましたが」
 その結果、19世紀のロシアで生まれながら20世紀には途絶えてしまった象嵌(ぞうがん)技法を、ミューレー氏の研究に基づいて復活させ、ケースや文字盤に採用し、F.P.ジュルヌのゴールド製キャリバーを搭載したモデルが完成する。

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