
エレガントフルダイヤモンド40MM 2014年発表。エレクトロ・メカニカル・ムーブメントを搭載。着用者の動きを感知するモーションディテクターを備え、スタンバイモードの間は動きを止めて節電し、再び腕に乗せると現在時刻に復帰し作動し始める。文字盤中央に381個(約0.6ct)、ケースに281個(約3.23ct)のダイヤモンドをセッティング。
クオーツ、ケースサイズ40×35㎜、Ptケース×カルングレザーストラップ、5,546,880円。
クオーツ、ケースサイズ40×35㎜、Ptケース×カルングレザーストラップ、5,546,880円。

天才の軌跡-1
Photo Masahiro Goda Text Yasushi Matsuami
現代を生きる時計師の最高峰、フランソワ︲ポール・ジュルヌ。今年は、彼が自身のブランドを立ち上げて20周年のアニバーサリーに当たる。この20年間、彼がウォッチシーンに残してきたものは何だったのか。また、ブランド創立以前のキャリアが、現在の彼をどう形づくったのか。そして今後のビジョンは? ジュネーブのマニュファクチュールに彼を訪ね、天才の現在・過去・未来を検証する。
1999年とは、いかなる年だっただろうか? この年、人類が滅亡するという予言が世間を騒がせたことは今や笑い話だが、千年紀の変わり目を控えた終末観のような空気と、新時代へ向けた期待がないまぜになった独特な雰囲気が世界を覆っていたのは間違いない。
時計業界に関して言えば、クオーツショックを乗り越えるべく1980年代から始まった機械式時計の復興が、技術的にもビジネス的にも成熟の時を迎えつつあった。
各ブランドは、ミレニアムを大きなビジネスチャンスと捉え、拡大路線へとアクセルを踏み込もうとしていた。それが成熟を超えて、爛熟(らんじゅく)の時代を引き寄せることになるのだが……。
フランス出身の独立時計師フランソワ-ポール・ジュルヌが、ジュネーブにモントル・ジュルヌ社を設立し、自身の名を冠したブランド、F.P.ジュルヌをスタートさせたのも、1999年のことだった。今年は、それから20周年の節目の年に当たる。しかし、ジュルヌ氏本人は、アニバーサリーに対しては、至って恬淡(てんたん)な様子だ。
「99年にモントル・ジュルヌ社を設立し、プレタポルテのウォッチを作り始めたわけですが、それ以前から受注品の製作は続けていましたからね。そこから数えれば、もう40年近くになるのですから」
20年は単なる通過点に過ぎない、ゴールはまだ先の先。そんなアグレッシブな思いを、その言葉の端ににじませた。
時計業界に関して言えば、クオーツショックを乗り越えるべく1980年代から始まった機械式時計の復興が、技術的にもビジネス的にも成熟の時を迎えつつあった。
各ブランドは、ミレニアムを大きなビジネスチャンスと捉え、拡大路線へとアクセルを踏み込もうとしていた。それが成熟を超えて、爛熟(らんじゅく)の時代を引き寄せることになるのだが……。
フランス出身の独立時計師フランソワ-ポール・ジュルヌが、ジュネーブにモントル・ジュルヌ社を設立し、自身の名を冠したブランド、F.P.ジュルヌをスタートさせたのも、1999年のことだった。今年は、それから20周年の節目の年に当たる。しかし、ジュルヌ氏本人は、アニバーサリーに対しては、至って恬淡(てんたん)な様子だ。
「99年にモントル・ジュルヌ社を設立し、プレタポルテのウォッチを作り始めたわけですが、それ以前から受注品の製作は続けていましたからね。そこから数えれば、もう40年近くになるのですから」
20年は単なる通過点に過ぎない、ゴールはまだ先の先。そんなアグレッシブな思いを、その言葉の端ににじませた。