
20以上あるネタ全てに、同じワインを合わせるのは難しいが、ワインの温度を変えれば、その可能性はさらに広がる。「例えばゲイヤーホフは冷やせばかなりドライになるので、シャリなしのつまみにも合わせられる。ちょっと温度を上げて甘味を引き出せば、寿司を食べるのにちょうどよくなる。つまみから白身までこの1本で賄えるようになりますよ」と若林さん。
まずは「赤身は赤、白身は白」の基本から
「正直なところ、寿司はあがりで食べるのが一番だと思っています。しかし、魚の個性とシャリの旨味を生かし、寿司をおいしく食べられるワインがあるのも事実。日本酒のように強い風味でネタの味を包み、生臭さを消すのではなく、ワインの酸味と甘味をバランスよく合わせることで、寿司をよりおいしく食すことができる。例えば、白身の魚には白ワインで酸味とミネラル感をプラスすれば魚の旨味を引き立てるし、赤身のように鉄分のあるネタには、赤ワインのタンニンがよく溶け合い、旨味の相乗効果をもたらす。食べ方次第でどちらもよりおいしく楽しめるところに、寿司とワインを合わせる醍醐味があるんです」と若林さん。