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F.P.ジュルヌ初の直営店である東京ブティックは、根津美術館に近い緑豊かな地で15年の歳月を重ねた。店内は巨大な吹き抜けがあるメゾネットで、左右対称の二つの階段が威風堂々と配されている。「安藤忠雄氏の手によるすばらしい外観に私の世界観を融合させようと、シンボルとなる階段をデザインしました」とジュルヌ。
ジュルヌが独立時計師として頭角を現したのは25歳の時。独学でトゥールビヨンを完成させ、業界は度肝を抜かれた。今でこそコンピューターを使って、多くのブランドがこの機構をラインアップしているが、その端緒を開いたのはジュルヌだ。また例えば1991年には、トゥールビヨンと主ゼンマイの力を一定に保つルモントワール機構を搭載した初めてのウォッチを製作。その8年後に「トゥールビヨン・スヴラン」を誕生させた。ブランドを立ち上げたのはこの時である。

 子どもの頃はバイクや自動車を分解し、組み立てては、どんな仕組みで動いているのかを見るのが大好きでね。それもあってか、親に連れられて、14 歳でマルセイユの時計学校に入学しました。そこで修理の技術を学び、「時計師になるのも悪くないな」と思ったことを覚えています。でも残念ながら、勉強が嫌いで一般教養の授業になじめず、2年で退学してしまいました。その後、パリの時計学校に学びながら、叔父の営む修理工房で働きました。そこのサロンに集まるお客様の中に、懐中時計を身につけている方がいらして、しだいにそちらに目が引きつけられたのです。特に衝撃的だったのは、イギリスのジョージ・ダニエルズという人がつくった時計です。調べてみたところ、彼は部品からすべて自分でつくり、オリジナルの時計を製作する唯一の時計師。自分もやりたい、彼のような時計師になりたいと強く思いました。
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