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1 近代以降、社交史を通じて数々のドラマを生んできた舞台がここ「カジノ・デ・マドリッド」。目下のところスペクタクルの演目筆頭はガストロノミーだ。
2 カラマリ(イカ)とニョッキのパルメザンクリーム&イカスミソース、レモンとトマトのキューブ添え。まるでコンテンポラリーアートのようだ。
3 いまやスパニッシュ・ガストロノミーは台風のような勢い。門戸を叩く者たちも国際色豊かな顔ぶれ。
 マドリッドの旧市街地でもひときわ威容を誇る新古典様式の建築、「カジノ・デ・マドリッド」。1836年以来、スペイン社交界の中心であり続けてきたこの施設の一部を成すのが、「リストランテ・ラ・テラッサ」だ。シェフ長を務めるのが、目下、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中のパコ・ロンセロである。
 フェラン・アドリア従事後の飛躍が示唆するように、彼の料理もまたフェラン同様、前衛的かつ独創的な創作に満ちている。液化窒素で瞬間冷凍させるヨーグルトムースやビーツのクリーム等、モレキュラー・ガストロノミーの神髄を余すところなく活かした料理が特徴である。
 加えて特筆されるのが、カクテルからデザートにいたるまでのプレートごとに、クライアントの感動を喚起させるような仕掛けがちりばめられていることだ。初めて体験するコンビネーションや素材のポテンシャル、そして新たなテクスチュア…それらロンセロの創作が立脚するのが、コシナ・アルタの特徴のひとつ、モレキュラー・ガストロノミーという化学を駆使した調理法だ。モレキュラー(=分子の)というだけに、彼専用にしつらえられた調理場はむしろ化学実験のラボにより近い。「一日のうちで専用調理室にこもっている時間が最も長い」という彼だけに、これからますます世界の食通にサプライズをもたらしてくれるに違いない。フェラン・アドリアが「エル・ブジ」休業宣言をした現在、「リストランテ・ラ・テラッサ」からますます目が離せない。

Restaurante La Terraza
Alcala 15
28014 Madrid
TEL+34 91 521 87 00
www.casinodemadrid.es
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