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1.松茸は水で洗わずに固く絞った布巾で汚れを丁寧に取る。
2.松茸の軸は細切りにしてそうめん状に、傘は輪切りにする。
3.出汁は鱧の骨、昆布、酒で取る。最後に塩で味を調える。
4.塩をふった松茸と万願寺とうがらしを七輪で焼く。
5.いちじくには、煮崩れを防ぐために葛を打つ。
6.いちじくを湯がいたら、ほかの野菜も椀に盛り出汁をかける。
鱧の出汁はこうやって深く澄み、味わいも深く申し分ないのだが、実は香りに乏しい。それだから松茸と相性が素晴らしいのだろう。鰹出汁だと、鰹の香りと松茸の香りが少しぶつかる。
 ところで、この松茸の芳香は日本人にとって素晴らしいものだが、欧米では松茸の香りは、「軍人の靴下の臭い」にも例えられて、評価は低い。もっとも雨後の松茸を嫌い、晴れた日に採る国産品と違って、収穫時の重さを重要視する外国産は、表皮が蒸れて、悪臭のするものも多いが、こういう松茸からも良い香りを引き出すのが、料理人の仕事だ。
 まず、表皮に冷たい風を当てて乾かし、固く絞った濡れ布巾で丁寧に表皮をはがしてゆく。表皮の茶色は残したいが、一度蒸れた表皮ならば、はがしてしまった方が賢明だ。はがした表皮の下が白ければ、ほどなく松茸独特の芳香が上がってくる。むろんこれは、軸の手入れの話で、傘が重たく、蒸れたものは使えない。とにかく表面が乾き、なおかつ水分を内包して、しっとりと重いものが極上品である。
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