PAGE...1|2|3|4|5
食語の心 第7回
作家 柏井壽
Photo Masahiro Goda
 食にまつわる話で、しばしば繰り返し話題になるのが〈最後の晩ばん餐さん〉。明日地球が滅亡すると分かったら、前の晩は何を食べたいかという設問。
 滅亡前夜に、呑のん気き に飯など食ってる場合じゃないだろう、という野暮な言い草は抜きにして、僕なら迷うことなく鮨すし。支払いのことなど気にせず、名職人の握る江戸前鮨を思う存分堪能して、この世とおさらばしたい。そう言えば、多くが賛同してくれる。
 老若男女を問わず、日本人は大抵鮨が好きだ。鮨。だが、その表記は幾つもある。一般的なのは〈寿司〉か〈寿し〉。〈鮓〉と書く場合もある。どれも同じようだが、微妙にニュアンスが異なる。
 先に書いたように、正統派の江戸前なら〈鮨〉。カウンターで回っていたり、デパ地下に並んでいる握りは〈寿司〉。
稲荷や巻き、ちらしなどは〈寿し〉もっともこれは、勝手な僕のイメージであって、世間一般には通用しないかもしれない。そして一番馴な染じみが薄いだろう〈鮓〉これは僕の中では寿司の原点になっている。
 そもそも〈すし〉とは何か。ここで少し成り立ちを振り返ってみる。
PAGE...1|2|3|4|5
LINK
GOURMET
食語の心 第15回
>>2014.7.11 update
GOURMET
食語の心 第35回
>>2016.3.24 update
RESTAURANT
からく
>>2009.1.9 update
STYLE
―BACK TO ROOTS― コレド室町が示した、日本橋の原点回帰
>>2010.11.30 update
GOURMET
食語の心 第21回
>>2015.1.7 update

記事カテゴリー