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「なぜ、海老のしんじょに魚のすり身を使っているのか?」
 「海老のしんじょなら自分で海老をすり身にすればいいではないか」
 もちろん、それからの努力で良い結果になり今に至るが、人は苦労した結果を大事にしたいし、それをベストだと思いたい。実は、そこにこそ進化を防げる落とし穴がある。
 ところで私は3年前、一冊の料理の本を出したが、この本には料理の考え方だけを記し、写真は全く掲載していない。
 なぜなら自分の料理は、まだまだ進化の途中であり、そんな中途半端な料理の写真を“本"という“形"に残るものに記録したくなかったからだ。
 現にこの連載の読者の方には大変申し訳ないが、昨年掲載された写真の椀も既に気に入らなく、自分で見ていて恥ずかしいと思うものがいくつかある。
 しかし、これは仕方のないこと。過去の自分に満足していては「今日の料理」は作れない。
 昨日の料理を恥ずかしいと思い続けられることが自分に未来がある証しだと思う。

元麻布「かんだ」
東京都港区元麻布3-6-34 カーム元麻布1F  TEL03-5786-0150
地鶏と焼き舞茸椀
比内地鶏のモモ肉の皮の部分だけを香ばしく焼き、薄くそぎ、葛打ちして塩湯にくぐらせる。舞茸は佐渡の原木のもの。

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