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 と、こんな歴史をたどってきた日本旅館。このままでは、せっかくの伝統ある宿泊施設が寂れてしまう。もっと〈食〉に注力せねば、と立ち上がったのが「日本 味の宿」というグループ。縁あって、この会の顧問を務めている。
 北から南まで、日本中から三十数軒の宿が参画し、より一層、宿の食事を魅力あるものにするため、日々研けん鑽さんを積んでいるのは頼もしい限り。
 その中の一軒、山形県かみのやま温泉にある「名月荘」では、極めて個性的な食形態を打ち出した。
 温泉街から少し離れた高台にあって、小規模高級旅館として人気の宿。ここにはなんと、京割かっ烹ぽうをも彷ほう彿ふつさせるカウンター席があるのだ。
 言わば、京都の料亭風料理から脱却し、割烹然とした料理へと進化してきたという流れ。無論、席数に限りがあるので、宿泊客全てがここで食べるわけではなく、部屋出しや、食事処で夕食を取る客の方が多い。しかし、希望すれば、温泉宿で割烹スタイルの食事ができるというのは、食いしん坊にとっては、なんともうれしい話だ。
 名にし負う銘柄牛、山形牛を筆頭に、次々と繰り出される、みちのくの美味を、カウンターで食べ、板前と語り合う。これまでの日本旅館にはなかった時間。
  同じカウンター席でも、渥美半島の突端近くに立つ宿「角かく上じょう楼ろう」では、宿の主人自らが包丁を握り、客の目の前で調理する、というさらに進化したスタイルを始めた。
 
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