PAGE...1|2|3|4|5|6|7
松江三大銘菓にして、日本三大銘菓の一つ、「山川」。名は不昧公の歌に由来。和三盆糖を用い、口の中でさっと溶ける柔らかな甘みが、抹茶本来の風味を引き立てる。「風流堂」が復元。
松江三大銘菓、萌ゆる緑を表現した「若草」。「彩雲堂」では、奥出雲・仁多地方でとれる最良のもち米を使用。弾力に富み、歯切れのいい求肥は、コシが強い寒冷地のもちならでは。
銘茶銘菓老舗めぐり
老舗の和菓子処が集まる天神町や寺町を散策すると、店先で「一服して行きませんか」と声をかけられ、その和やかなたたずまいに引かれて足を向けた。1890(明治23)年創業の和菓子店「風流堂」である。 
 松江には、「不昧公好み」の代表といえる、三大銘菓がある。その一つが、日本三大銘菓にも数えられる「山川(やまかわ)」。不昧公好みの中でも随一と称されながら、長く途絶えていた山川を復元したのが、「風流堂」の2代目、内藤隆平である。
  散るは浮き散らぬは沈む紅葉(もみじば)の影は高尾の山川の水
 不昧公の歌になぞらえ、紅葉の山を表す赤と、川を表す白の落雁を、時期によって上下にしたり、間に挟んだりして茶席に供したという。しっとりとした口当たりで、甘味が後を引かず、何よりも抹茶の風味を引き出すところが、不昧公の好みだったに違いない。もう一首、
  曇るぞよ雨ふらぬうちに摘みてこむ栂尾山の春の若草
 という不昧公の歌から命名されたのが、松江三大銘菓の「若草」である。不昧公が記した茶道の手引書『茶事十二ヶ月』によると、春の茶会に用いられていたもので、山川と同様に途絶えてしまっていたのを、1874(明治7)年創業「彩雲堂」の初代、山口善右衛門が復元した。求肥(きゅうひ)に薄緑の寒梅粉をまぶし、若草山の萌(も)ゆる緑を表現。石臼で丁寧に水挽(みずひ)きした、ふっくらと柔らかな求肥が美味である。
PAGE...1|2|3|4|5|6|7
LINK
CULTURE
数寄者・不昧公の松江
>>2015.9.28 update
GOURMET
食パンのための「抹茶みつ」
>>2021.4.15 update
GOURMET
和歌山発酵食紀行
>>2015.2.2 update
GOURMET
食語の心 第19回
>>2014.11.12 update
GOURMET
食語の心 第42回
>>2016.10.18 update

記事カテゴリー