世界の贅沢、NILEの贅沢

（左）地金部分が全く見えないミステリーセッティングが施されたフェニックス クリップは、優雅に飛翔して、本物の美しさとエレガンスを教えてくれる。（中）魅惑に満ちたクリエイティビティーを体現するリコーヌ クリップ。サファイアをミステリーセッティングして、立体的に表現されている。
（右）コレクションの中で一番のお気に入りは？　とたずねると、フェニックスだと答えてくれた、ヴァン クリーフ ＆ アーペル ジャパン プレジデントのアルバン・ベロワー氏。「中でも本当にプレシャスなものと言ってよいと思います。例えばフェニックスの作業時間は1500時間もかかっており、ルビーを19.45ctも使い、高い技術で複雑に作られたということを感じていただけると思います」と続けた。

ミステリーセッティングされたレジェンドたち

そして、もう一つの方向性としては、エレガントでマジェスティック、荘厳であること。これは「ノアの方舟」にはいない、さまざまな文化の中で“レジェンド"とされてきた想像上の動物を入れて表現している。
「フェニックス、ユニコーン、ペガサスとさまざまな神話や古典に登場する伝説の動物が3体存在します。これらによって、今回のコレクションのもう一つの見所、マジェスティックで優雅な部分、そして洗練されているという意味でも非常に質の高いものに仕上がったと思います。今回の展示では、フェニックスとペガサスの二つを紹介していいます。中でも、フェニックスには、先ほど言ったマジェスティックな部分を見て取れます。それは、1933年に特許を取得したメゾンを象徴する技術である、ミステリーセッティングが施されています。これは、本当に高度な技術で、ユニコーンはサファイアを、フェニックスはルビーをミステリーセッティングしております。この技術により、素晴らしい、技術の高い作品に仕上がっています。さらに、コレクションの中で、これら伝説の動物だけは、つがいではなく、1体で仕上げています。我々は、こうした表現を持ってして、ファンタジーの世界、マジェスティックな世界を伝えたいと意図しています」
　さらにコレクションを全てクリップにした狙いをこう話した。
「ブレスレットやリングですと、やはり着用する際の形状、曲線に合わせてということが必要になります。クリップですと、そうした制約がないということ。2次元ではなく、3次元の３Dであるかのような立体感を出すことができ、彫刻、あるいはちょっとしたおもちゃのようになり、心をくすぐられる、遊び心のあるデザインになりました。やはりこれは、クリップにしたからだと思います」
　ヴァン クリーフ ＆ アーペルがつむぐ「ノアの方舟」。聖書の世界から抜け出した動物たちは、時に愛らしく、時に神秘的に、時に荘厳に、生きるもの全てが美しい形態を持っているということを教えてくれる。