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それは秋の味覚の王者である松まつ茸たけ。松茸と鱧のコラボ。これぞ贅の極み。海外産でも悪くはないが、広島辺りの早採れ、「早さ まつ松」なら言うことなし。松茸の軸を鱧の身で巻き、酢す橘だちを搾って食べる。松茸の山の香りと、かすかに潮の芳香を含む鱧の味わいが、舌の上で混ざり合う。夏の盛りと早い秋が、同時に口の中にあふれる。
 と、しかし、こういう料理が正統かと言えば、それはまた別の問題でもある。そもそも鱧は夏場が「旬」なのか。〈早松〉は邪道ではないのか。全て食材は「旬」を味わってこそ美味と言えるのではないか。そんな疑問が頭をもたげる。次回はその話をしよう。
かしわい・ひさし
1952年京都市生まれ。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都関連の本や旅行エッセイなどを数多く執筆。2008年に柏木圭一郎の名で作家デビュー。京都を舞台にしたミステリー『名探偵・星井裕の事件簿』シリーズ(双葉文庫)はテレビドラマにもなり好評刊行中。『京都紫野 菓匠の殺人』(小学館文庫)、『おひとり京都の愉しみ』(光文社新書)など著書多数。
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