

蓋色食成性 天真爛熳
Photo Masahiro Goda Text Junko Chiba
江戸の後期、柏木如亭という漢詩人がいた。
諸国を漫遊し、行く先々で出合った美味珍肴の思い出を、
その土地の風物、季節の追憶とともに漢詩をまじえて文を綴った風流人だ。
書物の名は『詩本草』――。
如亭はまた、若い時に遊里吉原の色香に惑溺し、
豪奢に遊ぶ通人たちとの遊興の中で漢詩に深く傾倒した男でもある。
そのために家職である幕府小普請方大工棟梁を辞さざるをえなかったという。
放浪詩人として生きた如亭の後半生は、そこから始まったのである。
猟色と美食と詩作に生きた如亭の没後1年のこと、
追福のために、友人たちの手で日暮里の養福寺に「柏山人碑」が建てられた。
そこに刻まれた、旧友の葛西因是が如亭を評した言葉が、「蓋色食成性天真爛熳」だ。
欲望のままに放蕩したエピキュリアン如亭が、もし現代の日本に蘇ったなら、
「食」のトップを走る5人の料理人たちにどんな詩を捧げるだろうか。
諸国を漫遊し、行く先々で出合った美味珍肴の思い出を、
その土地の風物、季節の追憶とともに漢詩をまじえて文を綴った風流人だ。
書物の名は『詩本草』――。
如亭はまた、若い時に遊里吉原の色香に惑溺し、
豪奢に遊ぶ通人たちとの遊興の中で漢詩に深く傾倒した男でもある。
そのために家職である幕府小普請方大工棟梁を辞さざるをえなかったという。
放浪詩人として生きた如亭の後半生は、そこから始まったのである。
猟色と美食と詩作に生きた如亭の没後1年のこと、
追福のために、友人たちの手で日暮里の養福寺に「柏山人碑」が建てられた。
そこに刻まれた、旧友の葛西因是が如亭を評した言葉が、「蓋色食成性天真爛熳」だ。
欲望のままに放蕩したエピキュリアン如亭が、もし現代の日本に蘇ったなら、
「食」のトップを走る5人の料理人たちにどんな詩を捧げるだろうか。