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酒田にみる現代芸術の完成形
土門拳記念館
(左)建物の設計は谷口吉生氏によるもの。シンプルながらも芸術性を感じさせる、土門の作品をより際立たせるデザイン。
(右上)時刻によって変わる光の差し込みも、デザインに組み込まれている。
(右下)土門拳記念室。この部屋から眺める景色は、窓を額縁にした絵画のようだ。
本間美術館が江戸明治期の繁栄の象徴なら、土門拳記念館は、現代の芸術の体現である。
 世界的写真家である土門拳は、山形県飽海郡酒田町(現在の酒田市相生町)出身で、酒田の名誉市民第一号でもある。昭和58(1983)年に完成したこの記念館は、「自分の全作品を郷里酒田市に贈りたい」という土門の意向に応える形で建てられた。土門の全作品約7万点を収蔵した日本最初の写真専門美術館だ。
 感じるのは、とにかく圧倒的なまでの“完成美"。館内のどの空間を切り取ってもアートになる。それは、建築、庭、オブジェといったすべての要素が、一流のアーティストたちの手により、土門の世界を引き立てるためだけに造られた故だろうか。
 建物の設計を担当した谷口吉生氏は、この建築で第九回吉田五十八賞を受賞。中庭には、彫刻家のイサム・ノグチ氏の彫刻とベンチ、草月流三代目家元であり映画監督でもある勅使河原宏氏が庭園とオブジェを、それぞれ寄贈している。いずれも土門と親交があった人たちで、その絆が、土門の作品をいっそう輝かせているようだ。
 思えば本間美術館も、戦後の打ち沈んだ酒田の勢いを盛り返そうという“公益の精神"から、別荘の一般公開を始めたと聞く。故郷に全作品を寄贈した土門もしかり、酒田には、故郷愛を育てる不思議な魅力があるのかもしれない。そしてその想いがまた、酒田の洗練された文化へと還元されていくようだ。

●土門拳記念館
酒田市飯森山2-13(飯森山公園内)
TEL0234-31-0028
開館時間9:00~16:30
不定休
www.domonken-kinenkan.jp
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