世界の贅沢、NILEの贅沢

（上）ポールが撮影したり、ノートに書き留めたイメージを映像インスタレーションで表現した「ポールの頭の中」は本展覧会の中でも注目の作品。ただ「見る」だけでなく「観察」することでインスピレーションを生み出すというポールの頭の中に迫る。©Luke Hayes
（中）「コレクション」。ひねりの利いた伝統に基づいて考案された、ポール・スミスならではのコレクションが一堂に会する。©Gee WhizDigital
（下）「ポールのアートウォール」。ロンドンのオフィスの壁に飾られているものと地下に保管してあるものから約500点が選定されている。©Gee Whiz Digital

　ポール・スミスの代名詞とも言える、ストライプ柄が生み出される「デザインスタジオ」も再現されている。厚紙にゆっくりと色糸を巻き付け、少しずつストライプを作って柄の色味を決めていく、その手法も惜しみなく公開。ポール・スミスというブランドに息づくサービス精神と、唯一無二であることへの自信が、展示の中に表れている。
「人は見ているようで見ていない」と、ポール・スミスは言う。彼の目に何が映っているのかをうかがい知ることができるのが、今回の目玉でもある映像インスタレーション「ポールの頭の中」だ。画像や言葉、数字など、ポールは頭に浮かんだアイデアをカメラで撮ったり、ノートに書き留めたりする。その無数のイメージを、ポールとイギリスのデザイン・ミュージアムがコンセプトを制作して、映像に加工。アーティストの頭の中を、ポール自身が携わって表現した、必見の展示である。
　11歳の頃から写真を撮り続けてきたポール・スミスは、ブランドの広告キャンペーンの撮影をした経験も持つ。これらを含め、デビッド・ベイリーやジュリアン・ブロードなど、有名カメラマンが撮影したポール・スミスの広告写真が「プロモーション」で紹介されている。また、ポールが10代から集めてきた絵画や写真のコレクションは、アンディ・ウォーホルやデビッド・ホックニーら著名アーティストの作品を始め、家族や友人、ファンから贈られたものまで約５００点が、一つのアートのように壁一面に展示される。