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少年マンガから少女マンガ、レディースコミック、エロ、グロ、政治的に発禁となったマンガまで、びっしりと並べられた館内は、まさに米沢氏の頭脳そのもの。特に今では入手が難しいマンガ雑誌までもが、付録を含め丁寧に蒐集されている。
「自分の青春時代のマンガ雑誌を読み返すと、そのときの風潮や流行がよく分かります」と、スタッフの斎藤宣彦さん。
「オリンピックがあればオリンピック関連のマンガが増えたりするのですが、そういうものは単行本にならずに雑誌だけで読み捨てられてしまうことが多い。米沢氏は、こうしたマンガ特有の読み捨ての文化を理解し、そのときでしか手に入らないマンガ雑誌を蒐集していたのだと思います。例えば、『週刊少年ジャンプ』は毎週300万部近く発行されていますが、1年前のものすら手に入れにくいですよね。一冊一冊の値段はそれほどでもないかもしれませんが、これだけのものを集めることはもうできません。膨大な時間が、この館内に蓄積されているのです」
 あのとき、これを読んでこう感じた。これを読んだときは、こうだった――。時代のにおいとともに、鮮やかによみがえる記憶の断片。まるでタイムカプセルを開けたときのように、胸を締め付けられる甘酸っぱい体験ができる。だからこそ、人々は自身の過去を懐かしむように、ここでゆったりと時間を過ごす。
「少女時代にマンガ雑誌で見た、ある俳優のインタビュー記事を探したいと言って訪れ、ついにその記事を見つけられた女性の利用者もいました。もう忘れ去られてしまったはずのあなたの記憶が、ここに保存されているかもしれないのです」

●明治大学米沢嘉博記念図書館
東京都千代田区猿楽町1-7-1 TEL 03-3296-4554
開館時間 14:00 ~ 20:00(月・金曜)、12:00 ~ 18:00(土・日曜、祝日)
休館日 火・水・木曜、特別整理期間、年末年始
会費 2階閲覧室300円/ 1日 ※無料の会員登録必要
1階展示室には、マンガとサブカルチャーの資料が豊富に展示されている。「蒐集された作品は、持ち主・米沢氏の脳内を表しているようなもの」と斎藤さん。米沢氏のコレクションで特徴的なのは、メジャーなマンガ誌だけでなく、レディースコミック、エロ、グロ、政治的に発禁となったマンガ、雑誌の付録などを通して、横断的に時代を読みとれるところだ。
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