世界の贅沢、NILEの贅沢

1.　「箸休 春野菜浸し」。つくしやこごみ、せりが春を伝える。
2.　「焚合 筍土佐煮 昆布巻 山独活 芽甘藍 京人参 木の芽」。
3.　「煮物 蛤潮仕立 呉豆腐 紅白結び 木の芽 祝粉」。
4.　「特別料理 鯛塩釜焼 栄螺 玉子」。鯛の身はふっくら柔らかに。
5.　「御飯 春菜寿司」。錦糸玉子、えび、木の芽の彩りが美しい、ちらし寿司。
6.　「向附 甲貝 和布蕪」。甲貝はコリコリの食感がたまらない。

　窓の外に目をやれば、幽玄な日本庭園が広がる。全国から石や庭木を集め、四季折々で違った風情を楽しめるよう計算された宿こだわりの庭だ。数寄屋造りと日本庭園。そのしみじみとした佇まいにこれほど心が癒やされるのは、日本人のDNAゆえだろうか。
　温泉を満喫した後は、旅の大きな楽しみである食事の時間。夕食は地元産の山海の幸から京野菜まで、旬の食材をふんだんに使った懐石料理だ。この日の献立には、春野菜や蛤、筍などが並んだ。季節感を大切にした料理は、味はもちろん器や盛り付けなど見た目の美しさも秀逸。客のペースと食べごろを見計らって一品一品運ばれてくるそのたびに心が躍る。朝夕食とも、客室の大広間で、庭の景色を愛でながら、ゆっくりと味わえる。
　宿のもう一つの顔と言えるのが、仲居さんの存在だ。半水盧では、出迎えから見送りまで一人の仲居さんが担当となり、まるでホテルのコンシェルジュのように滞在中のさまざまな要望に応えてくれる。
　さらに宿を再訪した際には、前回と同じ仲居さんが付いてくれるという。宿のスタッフが自分の好みを覚えて、滞在のたびにきめ細かく対応してくれる……これこそ、なじみの宿を持つ喜びだろう。