
ドゥブロブニクのビーチは4月からすでに活況をみせる。10月のシーズン後半まで半年間の長いシーリゾートだ。
そもそも歴史を紐解けば『地中海』とは単なる海洋というよりも、むしろエーゲ海や黒海まで広く網羅する文化的概念の版図としてとらえられてきた。フランス、クロアチア、トルコ、アルジェリア…etc.といった、宗教や民族だけでは一見して共通項の見いだせない文化を、各々が共有する価値観として成立させているのが地中海という文化的な概念なのである。それだけに海路で楽しむ地中海こそがこの地域を体感する真骨頂であり、古くからの流儀といえるのだ。2010年、ドゥブロブニクを経由し、パトラス(ギリシャ)とヴェネチアを結ぶ古代来の海上ルートが、定期フェリーの就航というかたちでいよいよ復活する。豪華客船のクルーズによって露払いを終えた海路が結ぶのはもちろん、沿岸の一都市のみにとどまらない『地中海』という文化の新しい姿だ。