
瀬戸内海にはクルーザーがよく似合う。列車や車で瀬戸大橋・しまなみ海道を走るのも爽快だが、潮風を受けながら進む船旅にはまた格別の味わいがある。古人が開いた海の道は、今なお私たちの心を魅了する。
古くは住吉神社。神功皇后が新羅を討って凱旋した後に、往来する船の航海守護のために自ら鎮まったと伝えられる大阪・住吉大社を総本社とする。瀬戸の港町を歩くと、住吉神社によく出合う。また、清盛の尊崇を受けて社勢が発展した宮島・嚴島神社、中世以降に水軍や武家が篤く信仰した大三島・大山祇神社、江戸時代になってから船乗りたちの信仰を集めた金刀比羅宮は、「信仰の海の道」の三大聖地である。このほか瀬戸内海沿岸や島々には、港町の繁栄を基盤にした数多くの神社が点在する。
残念ながら現代は、船に頼らない交通網の発達とともに、瀬戸内海の航路としての重要性は薄れてしまっている。しかし、日本人にとっての海の原風景は瀬戸内海にあり、今なお鮮烈な光を放っている。船から島々が織り成す瀬戸の風景を眺めながら、海の神様に手を合わせる旅をすると、そんな思いを強くする。
残念ながら現代は、船に頼らない交通網の発達とともに、瀬戸内海の航路としての重要性は薄れてしまっている。しかし、日本人にとっての海の原風景は瀬戸内海にあり、今なお鮮烈な光を放っている。船から島々が織り成す瀬戸の風景を眺めながら、海の神様に手を合わせる旅をすると、そんな思いを強くする。