
(左)本殿。宝殿とも呼ばれる。三間社流造という建築様式の神社としては日本の代表作と言われている。蟇股、手挟、脇障子、欄間、懸魚等の変化に富んだ装飾技法が凝らされ、繊細な雰囲気を醸している。(右)能因法師雨乞いの楠。樹齢 3000 年、日本最古の楠だ。平安の歌人、能因法師が雨乞いの使者として遣わされ、この楠に幣帛をかけて一句詠んだところ、伊予国中に 3 日 3 晩雨が降ったと伝えられる。

DISCOVER SETOUCHI Vol.3
Photo Masahiro Goda
Text Junko Chiba
Text Junko Chiba
大山祇神社
楠の巨木が語りかける「神話」と「海の戦いの物語」
楠の巨木が語りかける「神話」と「海の戦いの物語」
瀬戸内海・芸予海峡のほぼ中央に浮かぶ大三島。その西方の湾奥、鷲ケ頭山の麓に大山祇神社は鎮座する。平安時代に朝廷から「日本総鎮守」の号を下賜され、また伊予国一の宮に定められており、四国唯一の大社とされる。
祭神は大山積大神。「山祇は山津持で、山を持ちます義である」とする本居宣長説によると、広く山を司る神である。実際、古くから山岳修験の信仰が篤く、大山祇神社でもとくに鉱山守護のために全国に分霊が勧請されている。「瀬戸内海にあって山の神?」という疑問がわくが、大山積大神は実は和多志大神という別名を持つ。「わた」は海の古語だから、海の神でもあるのだ。このほか、軍神、武神、雷神、酒造の神など、広い神徳で人々の信仰を集めている。
祭神は大山積大神。「山祇は山津持で、山を持ちます義である」とする本居宣長説によると、広く山を司る神である。実際、古くから山岳修験の信仰が篤く、大山祇神社でもとくに鉱山守護のために全国に分霊が勧請されている。「瀬戸内海にあって山の神?」という疑問がわくが、大山積大神は実は和多志大神という別名を持つ。「わた」は海の古語だから、海の神でもあるのだ。このほか、軍神、武神、雷神、酒造の神など、広い神徳で人々の信仰を集めている。