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未来を見据え機構の進化も止まらない
機構的に注目に値するモデルも挙げておこう。オーデマ ピゲがダブルバランスホイールを搭載した新型脱進機を発表。昨年コンセプトモデルとして発表した、音質と音量に徹底的にこだわったリピーターも「ロイヤル オーク コンセプト・スーパーソヌリ」として製品化にこぎ着けた。A.ランゲ&ゾーネは、複雑機構のオンパレードと言うべき「ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン」で、ため息を誘った。リシャール・ミルからは、ラグジュアリーなプライベートジェットを手掛ける、エアバスコーポレートジェットとコラボした、またもや1億円超の「RM50-02ACJ」が登場。グルーベル フォルセイは、伝統技術の継承を意識した「シグネチャー1」や、30度傾いたバランスホイールを2個搭載したモデルなどを発表している。
 パルミジャーニ フルリエ傘下の有力ムーブメントサプライヤーであるヴォーシェ社の開発責任者、浜口尚大(たかひろ)氏からも、興味深い発表があった。ピエール・ジュヌカンなる物理学者の理論をベースにしたセンフィネと呼ばれる機構を導入した脱進機を開発中とのこと。シリコン製の板バネを用いて脱進機から軸を排除し、摩擦を極限まで低減させ、これまでと同様の香箱で45日間もの超ロングパワーリザーブの実現が可能だという。実用化に期待したい。
 こうしたいくつかの注目すべきトピックがありながらも、今年のジュネーブは全体としては堅実な印象。何しろラグジュアリービジネスは、世界経済の動向に左右されやすい。中国経済の減速、原油安など不安定要素が取り沙汰される昨今だけに、冒険よりも現実感のあるモデルに注力することになったのかもしれない。買う立場で考えれば、それも悪くないような気もするのだが。
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