PAGE...1|2
金融コラム
田嶋智太郎 経済アナリスト
そろそろドル/円の調整は仕上げ段階?
筆者を含む金融市場ウオッチャーらは、基本的に過去の賢人が苦心の末に発見し、生み出した数々の有効な相場分析手法を便利に活用している。俗に言う「テクニカル分析」の手法である。
 その一つが、ラルフ・ネルソン・エリオットというアメリカ人の考案した「エリオット波動理論」。エリオット氏は、人間の感情の起伏には一定のリズムがあり、人間の感情を映すマーケットの動きには予測可能なパターンがあると考えた。彼によれば、強気相場というのは三つの大きな上昇波(衝撃波)からなり、この相場は上昇波よりも小さな二つの下降波(修正波)を併せ持つ、合計5波動で構成される。それでは、円に対するドルの値動きにこの波動理論を当てはめるとどうなるだろうか。想定される一つのシナリオ(必ずしもシナリオは一つとは限らない)を以下にご紹介しよう。
 まず、ドル/円の強気相場は昨年(2012年)2月に付けた安値からスタートしたという前提に立つ。すると、昨年3月高値までが「第1波」、昨年9月までが「第2波」、今年5月高値までが「第3波」とカウントできる。エリオット波動理論によれば、なかでも「第3波」は非常に強力な波であり、通常は最も長くて大きい。実際、昨年9月安値から今年5月高値までの円安・ドル高は期間が8カ月余り、値幅が26円余りと、非常に長くて大きかった。
 こうした前提に立って考えると、去る5月22日に103円73銭の高値を付けてからの価格調整は「第4波」の修正波であると考えることができ、当面の調整を経た後にはいずれ「第5波」の上昇波に当たる局面が訪れるということになる。なお、非常に強い「第3波」の後に形成される「第4波」は利益確定の売りと出遅れてきた参加者による買いが拮抗する局面で、明確なパターンのない「ランダムウォーク」の状態になることが少なくないとされる。
PAGE...1|2
LINK
STYLE
金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
>>2014.1.14 update
STYLE
金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
>>2015.7.8 update
STYLE
金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
>>2016.7.27 update
STYLE
金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
>>2014.3.10 update
STYLE
金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
>>2016.2.8 update

記事カテゴリー