
バラをモチーフにした「オノラーレ」をコーディネートしたダイニング。光を受けてさまざまに変化する織物の表情が美しい。

感性に響くファブリックス
Text Asuka Kobata
季節の移ろいや光と影など自然界の美しい情景を描き、170年以上の歴史を刻んできた川島織物セルコンの確かな経験と技術により、織物として完成させたインテリアファブリックスブランド「Sumiko Honda」。2021年の新作ではバラや蝶をモチーフにしながら、希望ややすらぎに満ちた独自の世界を表現している。
「自宅の庭で毎日、絵日記のようにスケッチを重ねていると、自然界の繊細な変化や揺らめきがこれまでよりも心に留まるように感じました。スケッチを介して自然と向き合う時間は、コロナの流行がまるで長雨のように続くなかで、少し立ち止まって自分自身やSHを見つめ直す機会となったのです」
そう話すのは川島織物セルコンのインハウスデザイナーであり、インテリアファブリックスブランド「Sumiko Honda(以下SH)」の生みの親である本田純子氏だ。花を中心とする自然界のさまざまな情景をモチーフに取り上げ、緻密な織物で表現するSHが誕生したのは1998年のこと。以降、本田氏が企画からデザイン、製作に至るまでを一貫して監修し、毎年新作を発表し続けている。そんなSHの今年の新作は、バラがメインモチーフになっている。実はバラはブランド当初の代表作でも取り上げたことがある。
「改めてSHを見つめ直すなかで初心に返る気持ちが芽生え、おのずと心引かれたのがバラでした。バラは高貴で華やかな印象が強すぎて少しとっつきにくかったのですが、庭の野バラを丁寧に観察してみると、つぼみから少しずつ開き満開になって朽ちていくそれぞれの姿、そして落ちた花びらまでにも美しさがある。さらにその時々に変化する香りが素晴らしい。今回は“光と香りの色"をテーマに再びバラを描き、新たな世界を表現したいと考えました」
そうして、水彩で描いた何枚ものバラのスケッチを再構成して生まれたのが「オノラーレ」だ。光を受けて微妙に変化するバラの色味や質感は、糸や染料、織組織を厳選することで織物に表現している。
そう話すのは川島織物セルコンのインハウスデザイナーであり、インテリアファブリックスブランド「Sumiko Honda(以下SH)」の生みの親である本田純子氏だ。花を中心とする自然界のさまざまな情景をモチーフに取り上げ、緻密な織物で表現するSHが誕生したのは1998年のこと。以降、本田氏が企画からデザイン、製作に至るまでを一貫して監修し、毎年新作を発表し続けている。そんなSHの今年の新作は、バラがメインモチーフになっている。実はバラはブランド当初の代表作でも取り上げたことがある。
「改めてSHを見つめ直すなかで初心に返る気持ちが芽生え、おのずと心引かれたのがバラでした。バラは高貴で華やかな印象が強すぎて少しとっつきにくかったのですが、庭の野バラを丁寧に観察してみると、つぼみから少しずつ開き満開になって朽ちていくそれぞれの姿、そして落ちた花びらまでにも美しさがある。さらにその時々に変化する香りが素晴らしい。今回は“光と香りの色"をテーマに再びバラを描き、新たな世界を表現したいと考えました」
そうして、水彩で描いた何枚ものバラのスケッチを再構成して生まれたのが「オノラーレ」だ。光を受けて微妙に変化するバラの色味や質感は、糸や染料、織組織を厳選することで織物に表現している。