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個人海外投資に必要な
国際税務の基礎知識 第22回
永峰 潤 公認会計士・税理士
暗号資産あれこれ(承前)
暗号通貨≠暗号資産?

 前回は主にDogecoinをめぐる暗号通貨の話を書きましたが、今回は暗号通貨全般の話をしたいと思います。既によくご存じの方もおられるかと思いますがしばしお付き合いください。わが国ではG20の決議に合わせて、2019年から暗号資産という呼称に統一されましたが、米国では依然として暗号通貨(Cryptocurrency)が一般的名称です。両者は同じものです。

暗号資産と法定通貨の違い
 暗号資産はインターネット上でのみ取引される通貨を指す暗号化されたデジタル通貨で、物理的な実態はありません(Dogecoinをいくら探してもネット上にしか存在しません)。利用目的には商品やサービス代金の支払いや海外送金、リアルな通貨との交換や、ウォレットと呼ばれるアプリを利用して、暗号資産を他人の口座に移転すること等があります。世界中で通用するのも大きな特徴です。その他の大きな特徴として発行量に上限があることがあります。暗号資産を購入するには暗号資産交換業者を通じて購入することになります。ググると即座に何社もの業者がリストアップされます。ただし現実的には後述のビットコインを始めとして、もっぱら保有して値上がり益を待つためのことが多いようです。

 円やドルのように一国の政府がその発行量を管理する法定通貨に対して、暗号資産は発行者や管理者が存在せずネット上で自主的に管理されています。法定通貨に対するかねてからの批判として、管理の厳密さが政治家の都合でしばしばゆがめられて供給量が増減することがあります。選挙が近づく度に時の政権による金銭バラマキ政策が発動されるのは、日本に限ったことではありません。その点、暗号通貨はそのようなことは原理的にありえないわけです。その点が、各国中央銀行が暗号資産を恐れている理由なのかもしれません。暗号資産の価格は本来その需給バランスで決まり、その価格に影響を及ぼすものとして信用度や知名度、将来性などがありますが、Dogecoinの例のように、SNS特有の集団心理的要素もあります。
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