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それだけ「米国」と「ドル」は強いということでもあり、やはりユーロや円などと比較して相対的に優位にあるということは2022年も基本的に変わらないだろう。まして、英・欧では今しばらく感染の急激な再拡大に対処することが優先され、もろもろの規制措置が域内景気の回復を一時的に鈍化させる可能性も高い。もちろん、対ドルでのポンドやユーロはかなりの悪材料をすでに織り込んでいるが、なおも2022年を通じてドルとの形勢逆転は難しいと考えられる。
 ドル/円についても、基本的に強気の流れは2022年を通じて変わらないと見る。世界中が再び“日常"を取り戻そうとしている段にあって、資源・エネルギー需要の高まりと価格の上昇がまだしばらく続くと考えれば、日本の貿易赤字体質も当面は継続するものと考えざるを得ない。まして、岸田政権に向けられる海外からの目線は比較的冷ややかなままであり、経済対策の実効性についてもあまり高い評価は得られていない。
 2021年半ば以降、ドル/円は長らく形成されていた下降チャネルから明確に上放れする動きとなっており、少し長い目で118円、120円といった節目にトライし、2022年の終わりごろには120円台で値固めする展開になってもおかしくはないと見る。
(左)THIS MONTH RECOMMEND・革命的ポテンシャルを秘めた水素の今とこれから
地球温暖化の悪影響が人々の日常生活まで着実に脅かし始めている今、脱炭素(=カーボンニュートラル)社会の実現が急務であることは言をまたない。そんな状況下、著者は「水素こそが重要なプレーヤーであることは間違いない」と豪語する。いずれ、水素は「貨幣」のような役割を担うというが、その意味するところとは……。「水素の今」を体系的かつ簡潔にまとめた本書に触れ、個々人がそれぞれの立場でこれから何ができるのかを熟考したい。
『【カーボンニュートラル】水素社会入門』西宮伸幸/河出書房新社/979円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.
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