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こうした企業による上場基準適合への工夫や努力は、当然、当該企業の株式(株主)価値を高めるえ、企業の魅力そのものも大きく向上させる。よって、市場では「プライム落ち」の恐れがある銘柄に対して「買い」の判断を下すことも少なくなくなっている。結果的に株価が上昇すれば、そのぶん時価総額も増加して上場基準を満たしやすくなる。逆に言うと、上場企業のなかには「これまで、できる工夫や努力を怠ってきた」と見なさざるを得ないところもある。それが東証再編をきっかけに改善されることは、すべてのステークホルダーにとって好ましいことと言える。
 また、現在の東証2部やジャスダック、マザーズからプライム市場に“昇格"すると見られる企業にも市場の注目は集まっている。これまで東証1部に準じる市場に籍を置いてきた企業が「プライム」の名にふさわしい企業へと成長していくことは、当然、市場全体にとっても非常に好ましいことである。とどのつまり、今回の市場再編は総じて上場企業のガバナンス改善につながり、それだけ東京市場全体の魅力が増すことにもなる。その結果、東京市場の株価全体が底上げされることに大いに期待したいところである。
(左)THIS MONTH RECOMMEND・世界一の技術やアイデアが世界で通用しないのは……
本書を著したのは、知財で新市場を創造する国内唯一(執筆時)の特許事務所。日本企業の勝てるビジネスモデルを構築・強化していくためには、世界で通用する「標準」と固有の「知財」という両方の車輪についてビジネス上での活用術を知り、したたかな諸外国の戦略には戦略で対抗せねばならない。「紅はるか」や「シャインマスカット」の二の舞いとならぬよう、専門家らと共に新たな市場を開く工夫を凝らすことが大事と思い知らされる。
『ざんねんな日本のものづくり ゼロからの知財戦略』日本知財標準事務所/総合法令出版/1,430円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.
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