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東京市場全体の魅力を高める!東証の再編
田嶋智太郎 経済アナリスト
来年(2022年)4月4日に東京証券取引所(東証)の再編(市場区分の見直し)が行われる。それにより、これまで東証1部・東証2部・ジャスダック・マザーズに分けられていたものが、プライム・スタンダード・グロースへと新たに区分けされることとなる。
 現在東証1部上場企業は、会社が希望すれば最上位に位置づけられるプライム市場にそのまま移行できるが、同市場の上場基準を一定期間内に満たせなければ、いずれはプライム市場に準じるスタンダード市場への強制移行を迫られるものと見られる。今後長らくプライムに残りたければ「流通株式時価総額100億円以上」、「流通株式比率35%以上」などの基準をクリアしなければならない。
 これに先立って、東証は7月9日にすべての上場企業に対して新しい市場基準への適合状況(一次判定)を通知した。この通知結果をもとに、各上場企業は取締役会で新市場の選択に係る決議を行い、9 ~ 12月に東証に申請を行う。
 すでに市場では、今回の市場再編に関してさまざまな思惑が駆け巡っている。一つは、現在の東証1部上場のなかでいわゆる「プライム落ち」となる可能性のある企業はどこかということであり、実際に1次判定でプライムに不適合とされた企業は600社余りに上る。
 むろん、当該企業の多くはできる限り早期にプライムの基準を満たすべくさまざまな工夫や努力を試みるだろうし、既に大株主の持ち株売却や自社株式の買い入れ・消却、積極的な中期経営計画の策定、配当性向の引き上げなど具体的な対策を打ち出す企業も増えている。
 東証1部上場のADワークスグループは、9月1日付で『新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書』なるものを発表した。今後は、銀行からの借入額を大幅に増やすことによって資金調達に伴うコストである加重平均資本コスト(WACC)を引き下げ、超過利潤の創出を狙うとしている。また、8月半ばにはオービックビジネスコンサルタントが、和田成史社長ら株主6人が同社株を最大1039万2000株売り出すと発表した。むろん、その目的は流通株式比率を引き上げることにある。
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