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今年もドル安・円高傾向が続く は本当か?
田嶋智太郎 経済アナリスト
2021年の外国為替相場を展望するに「ドル安・円高が進む」と見る市場関係者は少なくない。「ドルは最大20%下落する可能性がある」とは米シティグループの予想だが、果たしてそうであろうか。
 執筆時、足元では代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が初めて2万ドルを超え、勢い2万5千ドル前後まで急上昇していることが話題になっている。その価格上昇は昨年10月下旬あたりから勢いづき、わずか3カ月で約2.5倍となった。
 このことについて、市場の一部で「ドルをはじめとする法定通貨の信認低下が最大の要因」との解釈がなされていることはご承知のとおりである。確かに、世界の主要中銀がバランスシートに巨大なリスクをため込んでいることは事実であり、全面否定はできないが、だからといって何らの裏付け資産も持たない暗号資産に世界中のマネーが雪崩を打って逃避していると見るのも少々短絡的に過ぎるのではないかと思われる。
 その意味からすれば、一部で目耳に触れる「暗号資産は金(ゴールド)と似た性格を有する」との解釈も決して正鵠(せいこく)を射ているとは思えない。正味のところ、足元のビットコイン価格の急騰は単なる投機であり、その背後には、やはり過去に例を見ないほど膨大なカネ余りがある。よく「過剰流動性のなせる業」といった解釈を耳にするが、その実際の規模とインパクトの強さは容易に言葉では表しきれない。
 余りに余ったマネーは次にどこに向かうのか。むろん、世界の債券にも株式にも暗号資産にも向かう。結果として、目下は世界の主要な株式指数が軒並み急上昇している状況にありながら、一方で主要国の国債にも潤沢に資金が回っている。むろん、超低金利が長期化しているからこその株高なのだが、そろそろ次の展開も想定しておかねばなるまい。
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