昨年11月以来、強い上昇傾向が続いている豪ドル/円は、今年2月に入ってから一層の上値追いの動きが強くなっている。それは豪ドルが世界全体の景気動向に敏感であることと、足元の景気拡大期待に基づいて資源価格が強含みで推移していることにもよる。さらに、最近はポンド/円の強さも目を見張る。ここにきて、ジョンソン英政権によるワクチン接種戦略が「稀な成功」と評されていることもその一因。前回「これからはワクチン拡大のスピードが何よりモノを言うことになる」と述べたが、まさに英国はそれを証明している。
つまり、豪ドルやポンドの強さが円安を演出している部分があるということだが、実はそれだけではない。お分かりのとおり、目下の「円全面安」の背景には、日本の貿易収支の悪化懸念というものもある。コロナ禍で自動車などの輸出が大幅に落ち込むなか、その一方でワクチン調達のための海外製薬会社への支払いが数千億円規模に膨らむと見込まれている。このところの原油価格の上昇もあって、エネルギー輸入額も増加傾向にあり、当面 は円の上値を積極的に買い進むこともためらわれることとなろう。
こうした観点から、なおも今後のドル/円には一定の上値余地が生じるものと考えられ、執筆時点における直近高値=106.23円処をクリアに上抜ければ、次にコロナ・ショック後の高値から今年1月安値までの下げに対する半値戻し=107円台前半の水準が視野に入ってくることになると見る。趨勢的なドル高・円安の流れは、日本の株価にとっても基本プラスと捉えていいだろう。
つまり、豪ドルやポンドの強さが円安を演出している部分があるということだが、実はそれだけではない。お分かりのとおり、目下の「円全面安」の背景には、日本の貿易収支の悪化懸念というものもある。コロナ禍で自動車などの輸出が大幅に落ち込むなか、その一方でワクチン調達のための海外製薬会社への支払いが数千億円規模に膨らむと見込まれている。このところの原油価格の上昇もあって、エネルギー輸入額も増加傾向にあり、当面 は円の上値を積極的に買い進むこともためらわれることとなろう。
こうした観点から、なおも今後のドル/円には一定の上値余地が生じるものと考えられ、執筆時点における直近高値=106.23円処をクリアに上抜ければ、次にコロナ・ショック後の高値から今年1月安値までの下げに対する半値戻し=107円台前半の水準が視野に入ってくることになると見る。趨勢的なドル高・円安の流れは、日本の株価にとっても基本プラスと捉えていいだろう。

(右)THIS MONTH RECOMMEND・未来にある可能性とリスクを知る!
著者いわく「(本書の内容を)話半分に聞いてもらってかまわない」が「話半分でも日本の未来は明るくない」。もはや、日本という国を大きく変えることは難しそうである。よって、個々人がそれぞれにどうやって生き残るのかを考えるしかない。そのためには、今後起こり得る事態を色々と想定しておかねばならない。2040年の世界は一体どうなっているのだろうか。著者が持つ広い知見を参考に、いまからできる限り備えておきたい。
『2040年の未来予測』成毛眞著/日経BP/1,870円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.
著者いわく「(本書の内容を)話半分に聞いてもらってかまわない」が「話半分でも日本の未来は明るくない」。もはや、日本という国を大きく変えることは難しそうである。よって、個々人がそれぞれにどうやって生き残るのかを考えるしかない。そのためには、今後起こり得る事態を色々と想定しておかねばならない。2040年の世界は一体どうなっているのだろうか。著者が持つ広い知見を参考に、いまからできる限り備えておきたい。
『2040年の未来予測』成毛眞著/日経BP/1,870円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.