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研ぎ澄まされた味わいが魅力の大吟醸酒とは対照的に、複雑で奥深い旨みが魅力の純米酒のためのグラスは、その香り、味わいを最大限に引き出すために大ぶりで横長、飲み口の口径が大きい形状となった。ほかにも、ふくよかな米の旨みと、クリーミーな質感を持つ日本酒に最適なグラスである。
さまざまな形状のグラスで純米酒を飲み比べ
米、米麹、水のみを原料にして醸造した純米酒は、その土地の滋味(テロワール)が強く出るものだ。醸造アルコールを使用せず、米に由来する滋味が豊かで、一般的に旨みが強くて、コク深い。いわば濃醇なタイプである。古から日本酒といえば、自然の素材、その力を利用して醸造されてきた純米酒は、食中酒としてずっと愛され続けているわけだ。
 その日本人に最もなじみ深いといえる純米酒は、やはり杯やお猪口で飲む機会が多い。そのため、お猪口に唇を着けて、すするように飲むイメージ。そうすると、舌先から入った酒はあっという間に舌の奥まで到達する。つまり、舌の上に酒がのっていて、その味を感じる時間が圧倒的に短い。
 これを「純米」グラスで飲んでみる。すると、経口が広いため、顔を上げて、ゆっくりたっぷり酒を口に含む。この時、舌先から舌を伝って奥まで流れていく。舌の上に酒がのっている時間が長くなる。その分、純米酒の旨み、コク、ふくよかさ、甘みをゆっくりと感じ、舌の上で酒が温まり、クリーミーな質感が口中に長く広がる。
そして、もう一つ。純米酒の嫌われがちな独特な香りを消してくれる。これは、経口が大きいので、香りが集まりにくく、そうした“効果"も生まれる。
 その昔から、量を飲む酒豪たちは、“茶碗酒"を楽しんだ。この「純米」グラス、よく見ると、茶碗に似てやしないか。もともと茶碗酒は、お猪口では量が足りない、何回もつぐのが面倒臭い、といった理由から茶碗で飲むようになったのだろうが、昔の人も茶碗で飲む純米酒のほうがおいしく感じたから、そうしてきたのではないかと思えてきた。

●リーデル青山本店 TEL03-3404-4456 www.riedel.co.jp
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