PAGE...1|2
米政権が検討している対欧州連合関税の強化についても、最終的に発動が見送られる、あるいは内容が制限される可能性は十分に残されている。米中対立の過去の経緯からも分かるように、貿易交渉というものは基本的に「圧力」と「譲歩」がセットである。
 また、7月以降は世界的な新型コロナウイルスワクチンの開発が一歩前進する可能性も大いにある。とくに注目度が高い米モデルナ社のワクチンについては最終治験が7月から始まると伝わっているし、日本国内でもアンジェスが大阪大学と共同開発するワクチンの治験が7月から開始される見通しとなっている。
 つまり、この7~ 8月は一つの重要なターニングポイントとなる可能性がある。あらためて市場のリスク選好ムードが復活し、なおも膨張を続ける世界の過剰流動性が各国・地域の株価を一段と高い水準に持ち上げる可能性もないとは言えない。結果、日経平均株価が一段の上値を追うこととなれば、正の相関が強い豪ドル/円の上値余地も広がりやすくなり、連れてドル/円が足元の膠着(こうちゃく)状態を脱して上値を追う展開となる可能性も十分にあると見られる。
 7月1日に発表された日銀短観(6月調査)によれば、国内企業の2020年度の想定為替レートは1ドル=107.87円である。今後、同水準より も円安方向で安定的に推移することとなれば、日本株全体にとってはポジティブと考えられる。
(左)THIS MONTH RECOMMEND・「未来のあたりまえ」を知る一冊
新型コロナウイルス感染拡大以前に著されたものであるにもかかわらず、その後の社会変化を見事に“予言”しているかのような内容である。換言すれば、以前から起きていたパラダイムの変化をコロナ禍が一気に推し進めたということ。みるみる勢いが増すリビング・シフトの流れは、これまで効率が至上とされてきた資本主義をも変容させていく可能性が高い。「昭和」の時代を長く生きた年配者ほど、新世代の生き方
に大いに学ぶ必要がありそうだ。
『リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来』柳澤大輔著/KADOKAWA/1,540円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.
PAGE...1|2
LINK
STYLE
2020年の米国経済はバブルの様相?
>>2020.2.17 update
STYLE
「今年もドル安・円高傾向が続く」は本当か?
>>2021.1.20 update
STYLE
当面の円の上値には自ずと限りがある!?
>>2020.11.20 update
STYLE
世界経済は一段とバブルの様相を色濃くする!?
>>2020.12.22 update
STYLE
米大統領選前後の相場の波乱は大チャンス!?
>>2020.10.27 update

記事カテゴリー