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よく言われることだが、感染症の世界的な拡大は間違いなく一過性のものである。2002年~ 03年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)など、過去のいくつかの類似事例を振り返れば、事態が収束した後に世界の株価や経済は決まって大きく持ち直している。
 大手総合情報サービス会社、ブルームバーグの電話インタビューに応じた元日銀理事の門間一夫氏(み
ずほ総合研究所エグゼクティブエコノミスト)いわく「リーマンショックと違って既存のビジネスモデルが壊れた訳ではなく、地震と違って供給能力も破壊されていない」ため、「感染さえ収まれば経済が回復するシナリオは十分立てられる」。今は、まさにこうした認識が重要なのではないか。
 確かに、今回はリーマンショック後に生じた金融危機に陥ったわけではない。また、後に世界で膨大な流動性が供給されたり、十分なセーフティーネットの仕組みが講じられたりしている点も再認識しておく必要はあろう。
 たとえ、今しばらくウイルスの感染拡大が続いたとしても、世界的なデジタルエコノミー化の流れは止まらない。たとえば、第5世代の移動通信システムである「5G」が本格的な商用
段階に入るのは今年からであり、関わる企業の将来性に対する期待も依然大きい。そんな企業の株式が今はバーゲンセール状態となっているのだ。
 もちろん、それほど焦ることはあるまい。しばらくはキャッシュ・ポジションを温存しながら、じっくりチャンス到来のときを待ちたい。
(左)THIS MONTH RECOMMEND
今、第4次産業革命がもたらすデジタルテクノロジーの進化によって、様々な産業のビジネスモデルが大きく変化している。その変化とは一体どういうものなのか。目の前を飛び交う「サイバーフィジカルシステム」、「デジタルツイン」などといった言葉の意味とは。本書は、断片的に理解している事柄をリアルな事例も交えながら体系化した貴重な一冊。2030年に向け、日本の得意分野が生かされる可能性について詳述されて
いる点も実に興味深い。
『2030年の第4次産業革命 デジタル化する社会とビジネスの未来予測』尾木蔵人著/東洋経済新報社/1,760円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.com
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