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金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
株価乱高下の中でJリートに再注目!
東京証券取引所に上場している不動産投資信託=「Jリート」の全銘柄を対象とした時価総額加重型の指数である東証REIT(リート)指数が、足元で年初来高値水準まで大きく上昇してきている。12月7日には1823ポイントまで値を上げ、2018年2月の年初来安値=1645ポイントに比して11%ほどの値上がりとなった。
 ちなみに、この指数が1800ポイント台を回復したのは2017年3月以来のこと。振り返れば同年は、4月以降から11月初旬ごろまで結構厳しい指数の下落が続いた。それは同年3月30日に金融庁が「顧客本位の業務運営に関する原則(いわゆるフィデューシャリー・デューティー原則)」を公表したことによるところが大きい。
 そして、その影響は、当時多くの投資家から人気を集めていた「毎月分配型」のJリート・ファンドからの大量資金流出という形になって表れた。同商品(投信)を窓口で積極的に推奨する金融機関の販売姿勢は一気に鳴りを潜め、むしろ他の商品に乗り換えさせる窓口も少なくなかったと聞く。当然、投信からの大量資金流出によってJリートの各銘柄の投資口(市場)価格も大きく値下がりし、それが東証REIT指数にも反映されたわけだ。
 しかし、本来であれば金融庁がいかなる行政指導を行おうと個々のJリートそのものの価値が急に低下するなどということはあり得ない。むしろ、実際には足元で賃料(家賃)相場が全体にジワジワと上昇しており、それだけJリートの実質価値も上昇している。
 市場価格が見る見る低下する一方で、各Jリートの決算時における分配金(賃料を原資とする)の額は従前と「変わらず」あるいは「やや増加」となっているわけであるから、おのずと「分配金利回り」は見る見る高まる。よって当然、個々のJリートの投資口価格はいずれ必ず適当なところで下げ止まり、あらためて利回りの魅力に目を向ける投資家によって買い直されていくのだ。
 驚いたことに、東京ビジネス5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の10月のオフィス空室率は平均で2.20%という超低レベルにまで低下した(三鬼商事調べ)。好業績を背景に企業の移転やオフィスの拡張需要が旺盛となっており、同地区の平均空室率は月次データが残る2002年1月以来の最低値を更新している。
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