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(左)果物はひとつひとつ、熟練のグラシエが手作業でくりぬく。薄いりんごの皮が変色もせずソルベを包む姿は小さな奇跡のよう。「徹底した温度管理、そして職人の卓越した技術とスピードが、果物の時間を止めるんです」と話すグランシェフ・辻井良樹氏。
(右)フレッシュなケーキから焼き菓子、生チョコと華やかで幅広い商品が並ぶ本店。創業42年、基本を大事にしつつ生クリームや生チョコをいち早く取り入れ、関西有数の高級住宅地・帝塚山の人々に愛されてきた。
マネジメントを学ぶため、新店舗でマネージャーをしていた頃の話だ。バースデーケーキに載せるプレートの名前を間違えるというミスが起きた。
「そのときは、単にプレートを付け替えるのではなく、土台からケーキを作り直しました。誕生日を迎えるお子さんへ、思いを込めて一からケーキを作り上げたかったのです。お菓子は嗜好品であり、なくても生きていけるもの。だからこそ、なくてはならない存在になるために何が必要なのかを考え続けています」
 おいしい素材を選び抜き、その味わいを最大限生かすための手間を惜しまない。「口に含むと思わず笑顔になる」「大切なあの人にも食べさせたいと思う」、それがポアールの誇りであり、理念なのだ。そのスピリットは創業者である父から受け継いだものでもある。幅広く揃う商品のなかでも特にデリケートで手間のかかるソルベは、いわばポアールの象徴と言えるだろう。舌に載せると、果物とクリームの自然な甘さがやさしく広がる。はかなく溶けた後には、鼻腔に果物そのものの残り香が漂う。余韻を惜しみながら、しみじみと歓びを感じる。確かにお菓子がなくとも生きていけるが、お菓子のない人生はなんとつまらないものだろうか。
 もう一度言おう。ポアールのグラス・ソルベに出会えた人は幸運だ。
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