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牧野川野税理士事務所 税理士 牧野好孝(まきの・よしたか)
牧野好孝氏は国税局OB。退職後、2002年に税理士事務所を開設。25年の国税専門家としてのキャリア、また東京国税不服審判所での税務訴訟経験を強みに、ここ10年は特に富裕層の国際税務を中心に、多種多彩なアドバイスを行っている。
国際税務マジック
牧野川野税理士事務所
Photo TONY TANIUCHI
Text Junko Chiba
国内外のどこに住もうと、どの金融機関でどんな資産運用をしようと、
必ず付いて回る問題がある。「税金」だ。
富裕層にとってとりわけ悩ましいのは「国内にプールすると資産が5割方減少しかねない」現実だろう。
それに対するソリューションの一つが、海外移住と並行して行う資産運用にある。
国内外の税務に精通したプロに付いてもらうことで、節税メリットが格段に大きくなる。
国際租税分野を得意とするプロ中のプロ、牧野好孝税理士に話を聞いた。
当然のことながら、資産規模が大きければ大きいほど、節税するメリットも大きくなる。手元に残る資産が億単位で違ってくるという。「国際税務マジック」とも称すべき、タネもシカケもある手法について、牧野好孝氏からご教授いただこう。
「すでにたまっているお金が10億ある企業オーナーの場合、社長が日本にいてそれを配当や報酬(給与・賞与)の形でもらおうとすると、税率は最高55%。つまり5億5000万円を納税し、自分の自由にできるお金は4億5000万円と、約半分になってしまいます。ところが海外に移住すると、日本の課税税率は報酬で20%、配当で15%にまで下がります。しかも香港やシンガポールのように、『外国で生じた所得に対する課税はゼロ』という税制を敷く国なら、日本や当地以外の国で得たお金に居住地で課税されることもありません。スイスに口座を持ち、運用して利益を挙げても税金はゼロです。よって日本で徴収される税金を差し引いて、8億から8億5000万円が自由に使えるわけです。その差額は3億5000万円から4億円ですから、大きいですよ。当然、2、3年は海外のその地に住む必要がありますが、こんなにも税金に差が出るのですから、事情が許すなら、また個人の生き方や考え方に合うなら、海外移住をしない手はありませんよね。かなり贅沢をしても、移住による節税メリットは非常に大きいんです」
 このように税金を視野に入れた場合、日本人富裕層がターゲットとする移住地は限られてくる。シンガポール、香港、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドが狙い目だ。ただ「最近はシンガポール移住規制が厳しくなり、居住パスが下りにくくなっているので、香港か、ジョホール海峡を横断する土手道によってシンガポールの中心街とつながっているマレーシアのジョホールバルがお薦め」だそうだ。
「海外移住という選択肢は、事業からリタイアし“キャッシュリッチ"になった方、あるいはなりたい方にマッチします。例えば自分で起業した会社の売却利益を得たとか、株の一部を子供に譲って残りの大半を売ってキャッシュに換えたとか。そういう方に対して私は、移住地の選定からビザの取り方、移住中の資産運用、いずれ帰国する時の相談まで、税務全般をサポートしてます」
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