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金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
もはや値下がりしようがない!?Jリートに注目
振り返れば2017年は1万9000円台前半の水準からスタートした日経平均株価が2万3000円台に乗せる動きを見せ、当然のことながら、日本株で運用する株式投資信託(ファンド)のパフォーマンスも総じて好調なものとなった。ところが、なかには年初からずっと(11月初旬あたりまで)一貫して値下がりを続けたファンドの類も実はあった。それは、過去に本欄でも幾度か注目した上場不動産投資信託(Jリート)である。
 執筆時において東京証券取引所(東証)に上場しているJリートは59銘柄にのぼり、その全銘柄を対象とした「時価総額加重型」の指数を『東証REIT指数』と呼ぶ。この指数は2017年の年初に1860(ポイント)前後であったが、後に見る見る弱含みの展開となって、11月初旬には一時1600近くまで値下がりした。
 それは、なぜか。一つには多くの日本株が非常に好調な値上がりを続けたことにより、Jリート市場から株式市場に相当な資金がシフトしたという点が理由として挙げられる。Jリートは投資対象とする不動産物件から得られるテナント料・家賃が投資家に対する収益分配の主な原資となることから、昨今のように全体景気がすこぶる好調でもJリート自体の投資口価格(市場価格)が上場企業の株価のように大きく値上がりするわけではない。
 また、2017年に入ってから東証REIT指数に連動する成果を目指して運用する投資信託=Jリート・ファンドの解約売りが急激に増えたということも値下がりの一因となった。それはJリート・ファンドの多くが『毎月分配型』のスタイルをとっていたことに金融庁が注目し、それは「長期的な資産形成につながらず顧客本位ではない」と指摘したことが原因であった。もちろん、毎月分配型にも様々あり、客観的に見て十分に顧客本位であるものも少なくなかったのだが、そこは十把一絡(ひとからげ)に捉えられてしまった部分もあるのだろう。結果的にJ-REITファンドから大量の資金が流出したおかげで、当然のことながらJ-REITの個々の銘柄の価格も値下がりしてしまうこととなった。
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