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おひつじ座にまつわる雑学

 おひつじ座はあまり目立つところのない星座で、特に胴体部分には明るい星がほとんどない。一説によれば、これはギリシャ神話に登場する黄金の羊が、自ら毛皮を脱いで人間に渡した後に星座になったからだという。もしそのとき毛皮を渡していなかったら、今頃おひつじ座は金色に輝く明るい星で埋め尽くされていたことだろう。なお、この金色の毛皮については、黒海沿岸の地域でかつて川から砂金を採るために羊の毛皮が使われていたことに由来するという説もある。羊の毛皮を川底に置いておくと、羊毛に砂金がびっしりと付着して、まさに黄金の毛皮となる。これを焚き火で燃やし、灰を1100度の高温にまで加熱すれば、金を溶かし出すことができるわけだ。このような毛皮による砂金採取を通じた人々の営みが、もしかしたらギリシャ神話の黄金の羊伝説を生み出したのかもしれない。さまざまな形で富をもたらしてくれる羊と人との関わりは、なかなかに奥が深そうだ。

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花山秀和
石垣島天文台(国立天文台) 研究員。
東京大学大学院にて理学博士取得後、国立天文台国際連携室広報普及員を経て2009年6月より現職、石垣島天文台の専属研究員として島に住む。
昼はシュノーケリングなど石垣島の海を楽しみ、夜から明け方までは観測という日々を送る。
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