

金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
過去最高の米求人件数が物語るのは?
普段、市場ではあまり注目されていない米国の企業による「求人」の話題が、久しぶりに注目を浴びている。それは、8月8日に米労働省から発表された6月の『米求人労働異動調査(JOLTS)』において「求人」の件数が統計開始以来の過去最高(616.3万件)を記録したことによる。
実のところ、今年の4月分も速報値では604万件(後にやや下方修正)と当時の過去最高を記録したのだが、市場はほぼ無反応であった。では、なぜ今回のJOLTSの結果に対して市場はやや強めの反応を示したのか。それは「毎月の雇用者数の伸びや失業率のデータに対する市場の関心がもはや低下し、むしろ今は個人消費の動向やインフレの行方がどうなるか、その動向を司(つかさど)る賃上げの兆候は見られるのか、などといったことに人々の関心が向かっているから」ということになろう。
その意味で、米雇用統計の一項目である「平均時給」に市場の関心が以前よりも強く向かっていることは事実である。7月分は前年同月比+2.5%の伸びを示したが、市場の大方の評は「その程度の水準では不十分」というものだった。つまり、その程度では消費の活性化や物価・インフレ率の上昇には結びつきにくく、年内もう1回の米利上げを促す材料とは見なしにくいということなのだろう。
しかし、よく考えてみると7月は米国における非農業部門雇用者の伸びが+20万人超となっており、それだけ“最初は安い賃金で雇われる人"の数が大幅に増加しているということも忘れてはならない。つまり、そのぶんだけ全体の「平均」は上昇しにくくなると考えることもできるだろう。
実のところ、今年の4月分も速報値では604万件(後にやや下方修正)と当時の過去最高を記録したのだが、市場はほぼ無反応であった。では、なぜ今回のJOLTSの結果に対して市場はやや強めの反応を示したのか。それは「毎月の雇用者数の伸びや失業率のデータに対する市場の関心がもはや低下し、むしろ今は個人消費の動向やインフレの行方がどうなるか、その動向を司(つかさど)る賃上げの兆候は見られるのか、などといったことに人々の関心が向かっているから」ということになろう。
その意味で、米雇用統計の一項目である「平均時給」に市場の関心が以前よりも強く向かっていることは事実である。7月分は前年同月比+2.5%の伸びを示したが、市場の大方の評は「その程度の水準では不十分」というものだった。つまり、その程度では消費の活性化や物価・インフレ率の上昇には結びつきにくく、年内もう1回の米利上げを促す材料とは見なしにくいということなのだろう。
しかし、よく考えてみると7月は米国における非農業部門雇用者の伸びが+20万人超となっており、それだけ“最初は安い賃金で雇われる人"の数が大幅に増加しているということも忘れてはならない。つまり、そのぶんだけ全体の「平均」は上昇しにくくなると考えることもできるだろう。