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図1:ギュスターヴ・モロー「イアソンとメディア」1865年(フランス・パリ オルセー美術館)
竰クThe Bridgeman Art Library/アフロ
アポローニオス・ロディオスの叙事詩、「アルゴナウティカ」での一場面。鷲の姿のグリフォンを足元に、イアソンが金羊毛を掲げ、メディアの後ろには、羊の頭を供えている。
イアソンと黄金の羊毛

 そのものずばり「ゴールデン・フリース(金羊毛)」の探求の物語は、ギリシア神話の英雄イアソンの冒険に示されています。
 黄金の羊毛を求めての、はるか黒海の東への旅。彼が探し出して祖国に持ち帰らねばならない金羊毛は、特別の来歴をもっていました。すなわちギリシアの北のテッサリアで、王から離縁されたお妃が、我が子を逃がすときに、神ヘルメスから与えられた金羊毛。それは魔法の絨毯のように子どもたちを乗せて、東方へ向かい、からくも男の子のみが助かったという羊毛でした。黒海の東とは、もうアジアです。金羊毛は知られざる異国で、一睡もしないドラゴンが護っている宝物となっていたのです。
 イアソンは船団を組み、並みいる英雄の中から筆頭格のヘラクレス、テセウス、オルペウス、ネストルたちも加わり、アルゴスの船をしたてて乗り込み、探求の旅に出て、魔法の助けによって、遂にこれを奪い返したのでした。そしてその黄金に輝く羊毛は、ヘルメス神のもとに戻されたと伝えられています(図1:ギュスターヴ・モロー「イアソンとメディア」1865年)。
 この神話が語っているのは羊の毛が「ゴールド」、「黄金」と同じように価値をもち、また美として崇められていたということです。それは驚くべきことではありません。「羊と人間の関係」は、太古から深く長く続き、今でも文明や地域によっては「羊」がいなければ、人は生きていけないほどなのです。
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