ちなみに、これまでECBが容易に出口戦略へと舵を切れなかった理由は大きく二つ。それは「欧州政治リスク」と「低インフレ」であり、前者については、6月11日と18日に行われた仏国民議会(下院)選挙においてマクロン新大統領率いる「共和国前進」が広く強い支持を得たことで、一気に払拭(ふっしょく)されたと言っていいだろう。つまり、かつてあった「欧州各国でポピュリズム政党が躍進してEU離脱ドミノが生じる」との懸念は彗星(すいせい)のごとく登場したマクロン氏によって吹き飛ばされたのである。
しかし、足元の欧州のインフレ率に目を向ければ、先行きへの警戒は依然として完全に払拭できておらず、ここもとのユーロ高・円安の流れには少々行き過ぎなところもあるように思われる。さらに、豪ドル/円も、当面の上値の目安であった87円処どころを回復する流れとなっており、目先は上げ一服となる可能性も否定はできない。
結局のところ、肝心は「世界経済のリーダー役である米国のインフレ率が一体いつ頃ごろから本格的に上昇し始めるか」であり、それは数カ月以内であると個人的には考える。米国は今、ほぼ完全雇用の状態にあるなかで企業の「求人」が過去最高レベルに達している、もはや米企業の人手不足状態は限界ギリギリであり、やむにやまれず賃上げに踏み切る米企業が続出することとなるのは、もうじきのことであると思われる。
しかし、足元の欧州のインフレ率に目を向ければ、先行きへの警戒は依然として完全に払拭できておらず、ここもとのユーロ高・円安の流れには少々行き過ぎなところもあるように思われる。さらに、豪ドル/円も、当面の上値の目安であった87円処どころを回復する流れとなっており、目先は上げ一服となる可能性も否定はできない。
結局のところ、肝心は「世界経済のリーダー役である米国のインフレ率が一体いつ頃ごろから本格的に上昇し始めるか」であり、それは数カ月以内であると個人的には考える。米国は今、ほぼ完全雇用の状態にあるなかで企業の「求人」が過去最高レベルに達している、もはや米企業の人手不足状態は限界ギリギリであり、やむにやまれず賃上げに踏み切る米企業が続出することとなるのは、もうじきのことであると思われる。

(左)THIS MONTH RECOMMEND 世界トップ5の観光大国に挑戦するために……
著者は現在、京都国際観光大使、元離宮二条城事務所特別顧問、日光市政策専門委員なども務める英国人。今年6月からは日本政府観光局の特別顧問にも就任し、今後の日本を「観光立国」へと導くことに貢献してくれる一人と大いに期待する。元外資系金融機関のアナリストらしく、説得力のある数々のデータを駆使し、日本の観光業に「今足りないものは何か」を冷静に分析。全国で「地方再生」を叫ぶすべての人々にとっても必読の一冊と言えるだろう。
『世界一訪れたい日本のつくりかた』デービッド・アトキンソン/東洋経済新報社/ 1,620円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.com
著者は現在、京都国際観光大使、元離宮二条城事務所特別顧問、日光市政策専門委員なども務める英国人。今年6月からは日本政府観光局の特別顧問にも就任し、今後の日本を「観光立国」へと導くことに貢献してくれる一人と大いに期待する。元外資系金融機関のアナリストらしく、説得力のある数々のデータを駆使し、日本の観光業に「今足りないものは何か」を冷静に分析。全国で「地方再生」を叫ぶすべての人々にとっても必読の一冊と言えるだろう。
『世界一訪れたい日本のつくりかた』デービッド・アトキンソン/東洋経済新報社/ 1,620円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.com