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中古資産の減価償却費
 アメリカの場合、中古不動産の価格決定においては、日本のように築年数によって減価していくのではなく、メンテナンスの程度=物件状態の良否、が大変に重要である。従ってメンテナンスをこまめに行うことで、築年数が経過しているのにもかかわらず、価格が下がっていない物件や、売却時の価額が購入時の価額を上回ることもよくある。
 ところで、日本の減価償却方法は中古資産の場合、法定耐用年数に代えて賃貸可能な耐用年数を見積もって耐用年数とすることが原則だが、その見積もりが困難な時は、例えば法定耐用年数全部を経過した中古資産の場合には、法定耐用年数の20%を乗じた年数を、簡便的な耐用年数として用いることも認められている。木造の法定耐用年数は22年なので、仮に築25年の物件を購入した場合の耐用年数は4年ということになる(1年未満の端数は切り捨て)。
 ただし、簡便法は賃貸に供するに際して購入者がリノベーションに支出した費用が取得価額の50%を超える場合は、使えないとの規定があるが、海外物件を想定した規定ではないため、この規定はハワイの中古物件(経年に従いそれなりのリノベーション費用を費やしている)を賃貸にする場合にも、適用されるのかどうかは判断が難しいところである。
 日本では賃貸にする木造25年の物件はほとんどないだろうが、既に説明したようにハワイでは、そのくらいの築年数の中古物件は普通に取引されている。このことに着目し、多額の減価償却費を計上して、不動産所得を赤字として日本の他の所得と相殺して節税するという手法が近年では見られるようになっている。
 そもそも日本で、かなり以前に設定した不動産に対するルールを、事情が異なる海外不動産についても同様に適用することを可としてしまい、そのまま何の手も打ってこなかったことに、問題の根源があるような気もするが、このような方法で節税を図っている現状がある。筆者がこのスキームに初めて接したのは今から25年ほど前のこと。それからも連綿と続いているようだ。
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