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金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト



2017年の日経平均株価はどこまで上がる?
 1月初旬に発表された昨年12月の米雇用統計において、米国で働く人々の「平均時給」が前年同月比+2.9%と大幅に伸びていることが明らかとなった。同時に発表された米失業率は4.7%となり、以前から米国の雇用情勢が劇的な改善ぶりを示し続けていることは、もはや疑いようもない。
 興味深いのは、米労働省が毎月発表する「米求人労働異動調査(JOLTS)」という指標の推移において、このところ自発的離職者の数が急増し、長らく高止まりしていることである。これは、平たく言うと「こんな(勤務内容が給与水準と見合わない)仕事など誰がやるものか」と覚悟を決め、自発的に離職に踏み切る被雇用者が少なくないということだ。仮に、新たな職に就くことがたやすくないと思われるような状況にあるならば、こうも離職者が増えることはないだろう。ちなみに、自発的離職者の増加は「将来的なインフレ期待を押し上げることにつながる」と考えるのが一般0的であるとされている。
 無論、雇用情勢の改善は人々の賃上げ期待の高まりを経て、いずれ消費、生産(製造)の活性化につながるものと考えられる。加えて、1月に大統領に就任するトランプ氏は大型減税と大規模な財政出動に直ちに着手するとしている。結果、もともと高まっているインフレ期待は一段と盛り上がり、米金利の上昇を通じてドルの価値をも押し上げることとなろう。
 そこで注目したいのは、国内企業が足元で事業計画の前提としている「想定為替レート」である。昨年12月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)によれば、2016年度の想定為替レートは大企業製造業で1ドル=104円90銭となっていた。ところが、周知のとおり、実際のドル/円は今年の年初に118円台後半の水準まで上昇する場面もあり、その後は円高方向に若干戻す場面もありながら、企業の想定為替レートと比べれば大きくドル高・円安方向に振れている。
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