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金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
英EU離脱の影響は一時的なものにとどまる!?
 あろうことか、6月に行われた英国の国民投票は、欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を支持する票が残留のそれを上回る悲劇的な結果となった。過半の人々の感情が理性を超え、怒りが経済合理性に勝ってしまった。かねて英紙フィナンシャル・タイムズは「離脱は自傷行為」と主張してきた。また、日本経済新聞の滝田洋一編集委員は7月3日付の紙面上で「英国の指導者と国民の不始末のとばっちりを、関係のない日本がなぜ被らされるのか」と記した。誰もが「まったく同感」と叫びたい気持ちだろう。
 その“とばっちり"によって、ドル/円は一時99円まで値を下げることとなり、日経平均株価は一時的に1万5000円を下回る水準まで再び下落した。周知のとおり、市場は“不確実性"というものを嫌う。英国の新たな首相となった残留派のテリーザ・メイ氏は「離脱の投票結果は尊重する」としながらも「年内の正式(離脱)通告はしない」とも述べている。ヘタをすれば離脱通告は来年に持ち越しとなる可能性もあり、そうした不確実性はしばらく市場の重しとなりやすい。
 ただ、何より市場が忌み嫌う“金融危機"が生じる可能性は低いものにとどまると言っていいだろう。ブレグジットに伴う動揺によって、足元では長らく燻(くすぶ)っていた南欧の債務問題が再び炙(あぶ)り出されてきており、このところグローバルな銀行株安の動きが顕著になっていることは確かに気になる。しかし、少なくとも米国の銀行が置かれた状況はリーマン・ショック当時とは一変しているし、邦銀の経営基盤が強固であることは今更言うまでもない。つまり、一部にある「グローバルにシステミックリスクが拡大する可能性もある」との見方は少々穿(うが)ちすぎと言えよう。
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