大学在学中、世界放浪の旅に出た。英国の著名な哲学者アラン・ド・ボトンの著書『旅する哲学』で、現代の病理的現象は、自分を他人と比べることで不安や焦りを過度にもたらして、かえって孤独に陥ることにあること。そして「自分を他人と比べるのではなく、自然といった大きなスケールで比べなさい」というド・ボトンの教えは、放浪の旅を経た自身の経験と重ねることで、独自の経済学を極める創造力のバックボーンになったという。
グローバル経済の中で、外的要因を強く受けるようになった日本経済。8月末のチャイナショックは、一時的なものではなく長期的な〝チャイナリスク?となるだろう、と田中秀臣氏は指摘する。
「日本はギリシャと異なり、ユーロのような通貨の足あし枷かせがなく、マクロ経済政策が自由に操れるのに、政府や日銀は効果的な金融・財政政策を行っていない。やはり、消費税を8%にしたのが良くなかった。せっかく景気が上向いてきていたのに、増税で消費がかなり減り、デフレ脱却にブレーキをかけた。加えて、先日のチャイナショックが起こり、日本経済もガタガタ。今後、デフレから抜け出すには、1ドル120円台をキープしながら、消費税を10%に上げないこと、そして日銀の追加緩和政策が必要です。緩和政策は、秋から冬にかけてサプライズでやりそうですけどね。ただ、ここのところ日銀は僕らがもうすぐやると言っていると、外してくるんですよ(笑)」
ヨーロッパでもアジアでも不安定要素が多く、世界同時株安のような世界的な経済危機の時期に、資産構成の強い味方はあるのか。
「それは、日本国債です。変動幅はせいぜい0・5%。日本がハイパーインフレになることは当分ありえない。しかも、国債の95%以上は日本の金融機関や企業、個人が持っています。国債は買った人の財産になる。だから、政府の借金=国民の財産ということに。それに日本人の資産は国債だけではないので、政府の借金は日本の資産の一部にしかすぎないのです。ギリシャのケースとは全く違います」
資産形成には適切な指針が見えにくいが……。
「資産形成はそれ自体が目標になってしまうと、見せびらかしの消費活動しかできないようになります。独自の夢や挑戦のために資産を使うという、創造性こそが人生の財産となるのではないでしょうか。そのために、自分なりのやり方で、世界を知るために使ったり、文化貢献をするような資産運営をしてほしいですね。私は形になったものを手に入れるよりも、自ら創造することに魅力を感じる。金はそのための手段にすぎないと思うのです」
グローバル経済の中で、外的要因を強く受けるようになった日本経済。8月末のチャイナショックは、一時的なものではなく長期的な〝チャイナリスク?となるだろう、と田中秀臣氏は指摘する。
「日本はギリシャと異なり、ユーロのような通貨の足あし枷かせがなく、マクロ経済政策が自由に操れるのに、政府や日銀は効果的な金融・財政政策を行っていない。やはり、消費税を8%にしたのが良くなかった。せっかく景気が上向いてきていたのに、増税で消費がかなり減り、デフレ脱却にブレーキをかけた。加えて、先日のチャイナショックが起こり、日本経済もガタガタ。今後、デフレから抜け出すには、1ドル120円台をキープしながら、消費税を10%に上げないこと、そして日銀の追加緩和政策が必要です。緩和政策は、秋から冬にかけてサプライズでやりそうですけどね。ただ、ここのところ日銀は僕らがもうすぐやると言っていると、外してくるんですよ(笑)」
ヨーロッパでもアジアでも不安定要素が多く、世界同時株安のような世界的な経済危機の時期に、資産構成の強い味方はあるのか。
「それは、日本国債です。変動幅はせいぜい0・5%。日本がハイパーインフレになることは当分ありえない。しかも、国債の95%以上は日本の金融機関や企業、個人が持っています。国債は買った人の財産になる。だから、政府の借金=国民の財産ということに。それに日本人の資産は国債だけではないので、政府の借金は日本の資産の一部にしかすぎないのです。ギリシャのケースとは全く違います」
資産形成には適切な指針が見えにくいが……。
「資産形成はそれ自体が目標になってしまうと、見せびらかしの消費活動しかできないようになります。独自の夢や挑戦のために資産を使うという、創造性こそが人生の財産となるのではないでしょうか。そのために、自分なりのやり方で、世界を知るために使ったり、文化貢献をするような資産運営をしてほしいですね。私は形になったものを手に入れるよりも、自ら創造することに魅力を感じる。金はそのための手段にすぎないと思うのです」

田中秀臣(たなか・ひでとみ)
上武大学ビジネス情報学部教授
1961年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、出版社の編集者を経て、早稲田大学大学院経済学研究科に再入学して大学教員に。『不謹慎な経済学』(講談社)、『デフレ不況』( 朝日新聞出版)など著書多数。近著は麻木久仁子・飯田泰之との共著の『「3 0 万人都市」が日本を救う!』(藤原書店)。
上武大学ビジネス情報学部教授
1961年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、出版社の編集者を経て、早稲田大学大学院経済学研究科に再入学して大学教員に。『不謹慎な経済学』(講談社)、『デフレ不況』( 朝日新聞出版)など著書多数。近著は麻木久仁子・飯田泰之との共著の『「3 0 万人都市」が日本を救う!』(藤原書店)。