
クラシカルで重厚感のあるメインロビー。
1世紀近く前の、王の思いの結晶
ホテル・リッツの特筆すべき第一の点は、その立地。マドリードを訪れた者なら必ず一度は足を運ぶ、プラド美術館の目の前に立つ。旅人にも地元の人たちにも憩いの場である、広大なレティロ公園にも隣接し、メイン通りグラン・ビアにも徒歩10分。ドガやゴッホを擁するティッセン・ボルネミッサ美術館、ピカソのゲルニカを堪能できる国立ソフィア王妃芸術センターと、スペインを代表する美術館も徒歩圏内。この利便性に長けた立地は、20世紀初頭の国王・アルフォンソ13世の思いと先見の明の賜物だ。1910年、ヨーロッパ各地を旅した王が、まだ代表するホテルを持たなかったマドリードに、パリやロンドンのリッツと肩を並べるような、首都にふさわしいホテルを、と命じ建設を開始。監督したのは、フランスから招いたホテル王、セザール・リッツ。贅を尽くしながらも、ケバケバしくなく優雅で品を備えたホテルが完成し、彼の名前が冠せられたのだ。創業当時のままの円形ホールに足を踏み入れれば、つややかな大理石の円柱や優雅なシャンデリアが迎えてくれる。