
(左)ルイ・オオタケ「エリオポリスにおけるアートプロジェクト(進行中)」2005年Photo: Daniela Schneider (右) トミエ・オオタケ 《無題》 1989年Courtesy: Museu de Arte Moderna de Sao Paulo
現代ブラジルアートの源流
1960年代半ばに興った“トロピカリア”という芸術運動の中心に存在し、“トロピカリア”というタイトルを最初に用いたアーティストがエリオ・オイチシカだ。彼がサンバ・ダンサーのための色とりどりの布をあわせてつくったケープのような「パランゴレ」は着る絵画であり、このムーブメントによって生まれた自由な表現の象徴である。また彼から始まった“トロピカリア”というムーブメントは、90年代以降の若い世代のアーティストに大きな影響を与えた。1936年にブラジルに渡り、円や幾何学的なフォルムを中心とした抽象画を制作したトミエ・オオタケやその長男で建築家のルイ・オオタケのカラフルで意外性のある作風からも“トロピカリア”の影響は見て取れる。